各国の国内事情を背景に、利害対立が際立った会議だったと言わざるを得ない。

 スペインで開かれていた国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が閉幕した。

 各国に温室効果ガスの削減目標引き上げを促す文書を採択したが、来年1月に始まる地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の実施ルール作りで合意できず、同11月の次回会議に先送りした。

 世界全体での対策強化が求められる中、パリ協定は出だしから課題を抱える形となった。一致した姿勢を示せなかった各国の責任は重いと言えよう。

 パリ協定は、途上国を含む全ての国に温室効果ガスの削減を義務付けている。

 先進国が途上国に協力して削減した分を自国の削減量に参入できる「市場メカニズム」の実施ルールを巡り、途上国側は先進国を利するだけだと主張。会期を2日延長したが折り合えなかった。

 先進国間の足並みの乱れも浮き彫りになった。

 削減目標の引き上げに関する議論では、欧州連合(EU)が2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を公表する一方、化石燃料の産業を守りたい米国やオーストラリアなどは引き上げに強く反対した。

 日本も、石炭火力発電について小泉進次郎環境相が「世界的な批判は認識している」と述べたが、削減目標の引き上げについては「帰ってから政府内の検討、調整を進める」とするにとどめた。

 パリ協定は、各国が自主的に削減目標を積み上げることで気温上昇を抑えるのが狙いだ。国際的な協調と併せて求められるのは「脱炭素」への具体的な行動だろう。

 温暖化対策で先行する一部の国では、化石燃料産業の雇用を再生可能エネルギーなどの他分野に移す支援策の検討が進んでいる。

 日本は温室効果ガス排出を「今世紀後半のできるだけ早期に実質ゼロ」にする目標を掲げるが、時期や方法は明確にしていない。

 温暖化対策は待ったなしだ。日本でも台風や集中豪雨などの災害が毎年のように発生している。

 まずは国の政策を脱炭素に転換する議論を急ぐべきだ。その上で、経済や社会の脱炭素化を促す支援策や仕組みを講じてほしい。

 温暖化対策に及び腰な国々と対照的に、会議に合わせて世界中から若者が集まり、デモに参加するなどして対策の強化を求めた。各国も行動に移さねばならない。