京都市の新税導入を巡る主な動き

京都市の新税導入を巡る主な動き

 年間40億円超の収入を見込む京都市の宿泊税は、2016年の前回市長選で門川大作市長が掲げた公約に基づいて導入された。厳しい市財政にとって貴重な財源となっているが、宿泊税は市税収入の1.4%に過ぎず、市財政全体に及ぼす増収効果は限られる。景気や国際関係にも影響される観光産業は水物と言われ、宿泊者数が減れば税収が減るというリスクも抱えており、市として安定財源の確保に向けた不断の取り組みが欠かせない。

 「宿泊税がなければ予算が組めたかどうか…」。市財政課の担当者が漏らす。18年度に宿泊税を充当した25事業のうち18事業は無電柱化や文化財修理といった既存事業。新たな財源確保にはつながったものの、市財政の根本的な課題は変わらない。
 市税は個人や法人が納める市民税、軽自動車税などで、市が自由に使える一般財源に含まれる。宿泊税の通年徴収のほか、景気の回復基調や地価の上昇などで個人市民税は8年連続、固定資産税は7年連続でそれぞれ増えたこともあり、市は19年度当初予算で市税収入を3千億円と見込んだ。前年度と比べ147億円の増だ。
 一方、地方交付税と、国が将来地方交付税で賄うとする市の借金(臨時財政対策債)は計994億円で、前年度から63億円減った。地方交付税は自治体間の財源の不均衡を調整するのが目的で、市の税収が増えれば地方交付税が減る仕組みになっているためだ。18年度と03年度の決算を比べると、市税と府税交付金は計421億円増えた半面、地方交付税と臨時財政対策債は計442億円も減っている。
 宿泊税は「法定外目的税」のため、税収が伸びても地方交付税の減額につながらないメリットはある。とはいえ、観光産業は海外の経済事情や災害などの影響を受けやすい。訪日外国人に沸く「インバウンドブーム」も20年東京五輪や25年大阪・関西万博の後まで続くか、先は見通せない。市は「今後も宿泊者数を十分に確保できるように、受け入れ環境の整備にも力を入れる」とするが、かじ取りは難しい。
 宿泊税導入までの過程では、有識者会議が駐車場利用や別荘所有に関する新税も議論の俎上(そじょう)に載せた。今年6月に開かれた空き家問題に関する有識者会議では、空き家の所有者に対する新税を求める意見も出た。駐車場税は、04年に市の研究会が提案しても実現できなかった経過もあり、新税の創設は容易ではない。
 今後、人口減少と少子高齢化は加速し、財政運営は厳しさを増す。行財政改革や支出の見直しを徹底すると同時に、市政を長期的に展望した財源確保の議論が求められる。