京都府の聖火リレーでランナーが走る神宮道(京都市左京区)

京都府の聖火リレーでランナーが走る神宮道(京都市左京区)

 東京五輪の聖火リレーで、詳細なルートとランナーの顔ぶれが明らかになった。京都や滋賀でも五輪を身近に感じることのできる貴重な機会で、各実行委員会は走路と人選に趣向を凝らす。ただ、京都府では全26市町村のうち10市町村で走らない。ルート選定などの過程は不透明で不満の声も聞こえる。

 京都府は来年5月26日に宮津市の天橋立や福知山城周辺などを走り、亀岡市の府立京都スタジアムでセレモニーを実施。27日は京都市の御池通を走り、1964年の前回東京五輪でもルートになった岡崎公園でゴールする。府実行委は「安全性や集客を考慮しながら名所を巡るルートにした」という。27日に走る宇治田原町では美しい茶畑がルートに組み込まれ、茶農家の男性(78)は「お茶の町として知ってもらいたい。コースで接待ができたら」と期待を込める。

 滋賀県実行委では「県内が一体となり、心に残る聖火リレーを」と全19市町を通るルートにした。前回五輪と同年に架かった琵琶湖大橋を自転車で走り、リレーするのが売りだ。自転車で琵琶湖を一周する「ビワイチ」をアピールする狙いもある。

 京都府内の聖火ランナーは計約200人、滋賀県内は計約170人。ただ、両実行委が選出できるのは各44の個人・団体に限られる。公式スポンサー4社も聖火ランナーを選考しており、全体の7~8割を占めるためだ。両実行委が一般公募した倍率は京都府で約71倍、滋賀県で約130倍と高くなった。

 府内では南丹市と京丹波町はルートから外れた。両市町には昨年8~9月に、府実行委から希望調査があったが、いずれも災害復旧を理由に辞退した。7月以降、西日本豪雨や台風襲来で大きな被害を受け、災害復旧が急務となったためだ。

 南丹市の西村良平市長は、警備費などで約1千万円の負担を求められたとして「参加できる市民ランナーの数も少なく、負担が大きい。その分を災害復旧や子育て支援に使いたかった」と説明。「負担をもっと下げる工夫をしてほしかった」と指摘した。

 京丹波町の太田昇町長は、警備費や人件費に約1500万円の負担を求められたとし「費用もあるが、京丹波の人が必ず走れる訳ではないと説明を受けたことも理由だった」と振り返る。新庁舎建設も控え「優先して取り組むべきことがあった」と話す。

 一方、向日市はルート選定で立候補したが、不採用の通知が寄せられた。市教委は「府からの説明はなく、なぜ落ちたのか理由は分からない」とする。

 府実行委は昨年8月から6回の会議を重ね、ルートなどを決めたが、議論はすべて非公開。県実行委も昨年9月から開いた4回の会議は非公開だった。理由について、両実行委は「五輪の組織委員会から議論の過程は明かさないように言われている」と口をそろえる。

 京都府で走らない市町村が出たことについても、府スポーツ振興課は「2日間で全市町村を走ることはできない」とした上で、自治体に費用負担を提示したかどうかなども含め、「選考の過程は回答できない」とかたくなだ。

 ある市幹部は、できるだけ多くの市民が参加できる方式が理想とし、「一体となって盛り上げていくためにも、応募した自治体や市民に選考経緯の説明あれば良かった」と打ち明ける。