11月に開催された大岡氏の政治資金パーティーの案内状

11月に開催された大岡氏の政治資金パーティーの案内状

 安倍晋三首相主催の「桜を見る会」や、菅原一秀前経産相の有権者への金品配布疑惑など「政治とカネ」の問題が後を絶たない。そのさなか、自民党の大岡敏孝衆院議員(滋賀1区)が政治資金パーティーで、選挙区内の有権者に無料で飲食を提供したことを報じた。いずれの問題も有権者への寄付行為を禁じる公職選挙法に抵触する恐れがあり、根底には議員側と有権者双方に認識の甘さがあると感じる。

 大岡氏の政治資金パーティーは11月4日、大津市内のホテルで開催された。会費は一口1万円で、492人が出席。来賓として、同市選出の滋賀県議や市議、学区自治連合会の会長らが招待され、計34人に無料で飲食が提供された。複数の出席者によると、ローストビーフや魚料理などが振る舞われ、酒類は飲み放題だったという。

 釈明に追われた大岡氏は「来賓とは地域の課題について意見交換している。その対価として飲食代を無償にするのは問題ないと判断した」との持論を展開。一方で「一人一人に十分対価があったかは証明できない。寄付行為との疑念を持たれても仕方ない」とした。来年以降のパーティーでは無料招待の来賓をなくすという。

 パーティー後、出席したある自治連会長に出会った。今回の飲食提供が寄付となる恐れがあることを伝えると、「ほんまや。これあかんやつとちゃうか」と、初めて問題に気づいた様子だった。「そもそも寄付に当たるかどうかを考えなかった。『タダやし行ってもええか』くらいの感覚だった」とし、表情には軽い気持ちで出席したことへの後悔がにじんでいた。

 一方で、法抵触の可能性を認識し、来賓招待を受けながら欠席した自治連会長もいた。その会長は「かつては、自治連に集票力があるとみられ、いろんな場面で特別扱いされていたとも聞く。だが、もうそんな時代ではない」と憤った。

 「寄付行為」と疑念を持たれる問題がなくならない理由は、一つではない。議員側の法令順守意識の欠如や、公選法の寄付行為の刑罰の軽さ(50万円以下の罰金)、党としての教育の不十分さもあると思う。大岡氏によると、今回の問題について党本部に報告したが、注意は受けなかったという。

 今回の問題を巡り、「事実上の買収に近い効果さえある」との批判した識者の談話を掲載した。大岡氏は「そんな意図はない」と否定するが、飲食の提供という寄付によって得票が増やせるとの疑念が持たれる行為は、厳に慎まなくてはならない。

 問題を通して、議員側が常に法令順守を肝に銘じるだけでなく、有権者も「違法な寄付ではないか」「公正な政治活動とは何か」をきちんと認識する必要があると痛感した。議員はモノではなく、政策で勝負し、有権者はそれを評価し、票を投じる。当たり前の関係を築かねばならない。