大腸がんの発症リスクを低くする遺伝子変異を難病「潰瘍性大腸炎(UC)」の患者から見つけたと、京都大などの研究グループが発表した。新たな大腸がん治療薬の開発につながる可能性があるという。英科学誌ネイチャーに19日掲載される。

 がんによる死亡者の中でも、大腸がんは上位に位置する。一方で腸粘膜に潰瘍が生じ慢性的な炎症を引き起こすUCでは、大腸がんの発症率が15~20%に達することが知られている。しかしUC患者のどのような遺伝子変異ががん化に関わるか詳しく分かっていなかった。

 医学研究科の小川誠司教授や垣内伸之助教らは、UC患者の腸粘膜の遺伝子変異を正常な組織と比較分析した。その結果、正常な大腸粘膜に比べて、UC患者では3倍の速さで遺伝子変異が蓄積されることが分かった。がん化に関わる変異もあった一方、「NFKBIZ」という遺伝子の機能が失われる変異パターンが3割と最多の頻度で起こっていた。さらにこの変異パターンは、がん化を抑制することが判明した。

 これらから遺伝子変異を促進しやすいとされる慢性的な炎症は、必ずしもがん化に関わる遺伝子変異だけを促す訳ではないことを示唆するという。垣内助教は「NFKBIZ遺伝子などに注目すれば、がんの予防に効果のある薬剤を開発できるかもしれない」と話す。