京都府庁

京都府庁

 京都市伏見区のアニメ製作会社「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオの放火殺人事件で、災害派遣医療チーム(DMAT=ディーマット)の出動要請などを担当する京都府の医療課が、発生してから約1時間後まで事件を把握していなかったことが京都新聞社の取材で分かった。医師の多い都市部での発生だったためDMAT派遣の必要性は低かったとはいえ、府の危機管理の在り方が問われそうだ。

 事件は7月18日午前10時半すぎに発生した。同11時半ごろ、府医療課の職員がネットで事件に気付き、防災消防企画課に問い合わせた。同11時44分に市消防局から防災消防企画課に「死者もしくは負傷者が10~15人の事案が発生している」との内容のファクスが送信され、同50分ごろ、医療課が受け取った。この時点で、発生から約1時間20分がたっていた。
 医療課は正午すぎ、府の基幹災害拠点病院である京都第一赤十字病院(東山区)に、DMAT派遣の必要があるかを問い合わせたが、同病院は「重症者の搬送は既にほぼ終わっている」と答えたという。
 市消防局は「現場対応を優先し、府に報告するどころではなかった」と説明する。
 府の把握が遅れたことに、他県の医療行政担当者は「本県ではありえない。DMAT派遣が結果的に必要なかったとしても、必要かどうかの判断を早急にするのが県の役割だと考えている」と指摘する。
 こうした事態を防ぐため府内の医療関係者は、負傷者多数の事件・事故時に消防と医療、行政が発生や救急搬送についての情報を瞬時に共有できるシステムを導入するよう、数年前から求めてきた。府内で救急医療に携わる医師は「京都市内だったから対応できたが、仮に地方で起きていた場合は府の役割が大きかったはず」と話す。
 府医療課は「今後は情報を早く得られる方法を検討する」としている。
    ◇
DMAT(ディーマット) 医師、看護師、業務調整員で構成される医療チーム。地域の救急医療体制では対応できない大規模災害や多数の負傷者が発生した事故現場などにすぐに駆けつけて、医療活動や救助活動を行う。都道府県などの派遣要請を受け、DMAT指定医療機関から派遣される。