墜落事故を2度起こした旅客機が、生産停止に追い込まれた。

 航空当局によって安全性が確認されておらず、このこと自体は当然と受け止められる。

 一方で、事故後、運航停止となりながら、生産は続けられていたと知ると、多くの人が納得できない思いを抱くのではないか。

 来年1月から生産を停止すると発表されたのは、米航空機大手ボーイング社の最新鋭機「737MAX」である。

 2年前に就航し、昨年10月にインドネシア、今年3月にはエチオピアで墜落した。犠牲者は計346人に上る。事故原因は、失速を防ぐために機首を下げる「自動失速防止装置」の誤作動とみられている。

 同社は、米国のみならず、欧州の航空当局からも運航停止を命じられ、航空会社への機体納入をやめている。

 ところが、737MAXは抜群の燃費性能と自動制御機能を備え、世界各国の格安航空会社(LCC)などから引き合いがある。このため、減産に踏み切ったものの、生産は継続した。現時点で、約400機の在庫がある。

 運航停止が長引けば、航空各社の経営にも支障が出ることが予想される。ボーイング社は先月、来年1月にも運航を再開できると発表した。

 経済原理からいえば、こうした対応も考えられるのかもしれない。だが、肝心の安全性の確認を、ないがしろにしてはいないか。

 今月に入って開かれた米議会下院の公聴会では、同社の元社員が事故の起きる前から、経営陣に生産中止を何度も求めた、と証言した。製造作業の過密日程から、深刻な問題が起きる可能性があったとも指摘している。

 米国で、同社を批判する世論が高まり、航空当局による安全審査の妥当性まで疑問視されるようになったという。

 これでは、運航再開の見通しが立つはずはない。

 同社は、「自動失速防止装置」が誤作動を起こした原因をさらに詳しく究明し、第三者の専門家らに、対策の有効性を厳正に審査してもらうべきだ。

 737MAXについては、日本でもANAホールディングスが、2021年以降に30機を導入する予定にしている。

 事実関係や運航への影響などをボーイング社から聴取するだけでなく、導入の是非を再検討する必要があろう。