プレハブ倉庫に仮置きした蚕糸業関連資料(府立丹後郷土資料館提供)

プレハブ倉庫に仮置きした蚕糸業関連資料(府立丹後郷土資料館提供)

京都府立丹後郷土資料館の敷地内にあるプレハブ倉庫(宮津市国分)

京都府立丹後郷土資料館の敷地内にあるプレハブ倉庫(宮津市国分)

 博物館の収蔵品が年々、増え続けている。一方、収蔵庫には限りがあり、プレハブ倉庫に仮置きしている博物館もある。背景の一つに少子高齢化や過疎化による寄付や寄託で収蔵庫が圧迫されていることが挙げられる。まちの文化や歴史を伝える重要な品々を将来へつなぐためにはどうすれば良いのだろうか。

 「本当は収蔵庫にきちっと収めてあげたいんですが…」。京都府立丹後郷土資料館(京都府宮津市国分)学芸員の青江智洋さん(39)はプレハブ倉庫の一角に保管する蚕糸業関連資料を眺めてつぶやいた。同館は来年、開館50周年を迎える。館内収蔵庫3棟は飽和状態で、温湿度管理がままならないプレハブ倉庫6棟を「屋外収蔵庫」として利用している。
 青江さんによると「地域で管理できない寺の道具や取り壊す空き家の農具を寄付したいという申し出は増えている」。博物館への期待がますます高まる一方、受け入れを断念する場面も少なくない。同館はリニューアルの計画があるが、青江さんは「活用してほしいと寄付を受けた資料は府民共有の財産。そう簡単に処分できず、未来永劫(えいごう)、資料が増え続けることに変わりはない」と語る。
 公益財団法人日本博物館協会が実施した2013年度の「日本の博物館総合調査」の報告書によると、約半数が「ほぼ満杯の状態」「収蔵庫に入りきらない」と回答した。鳥取県北栄町の北栄みらい伝承館は昨年夏、生活道具など収蔵品の無償譲渡を行う展示に踏み切った。収蔵品をランク付けし、譲渡後の活用方法について確認した上で手放した。
 年間40~50件の資料を受け入れている舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市平)は開館30周年の昨年、2億8800万円かけて収蔵庫などを増設した。学芸員の長嶺睦さん(42)は「市が力を入れて残そうということの表れだと思う」と話しつつ、費用の観点から「どこの博物館でもできることでは決してない」と強調する。
 東海大課程資格教育センターの篠原聰准教授(46)=博物館学=によると「博物館は理念上、永続的に収集する施設」で「博物館法や関連法規に資料の廃棄について記述はない」という。篠原准教授は「民間企業や大学と連携して地域住民が資料の魅力を知る機会を提供することが重要」とし、「収蔵品の譲渡や収蔵庫建設のためのクラウドファンディングといった方法もある」と述べた。価値ある資料を地域全体で守る自覚を持つことが必要だろう。

<エピソード>

 府立丹後郷土資料館には地元小学校から「手回し式洗濯機が見たい」という問い合わせがある。しかし、資料としての価値を認識していなかったために収集しておらず、期待に応えることができないという。
 篠原准教授は「公立博物館設置時に由来する構造的問題」の一つとして「どのような資料を収集してどのように活用するかという方針があいまい」な点を指摘した。青江さんは「何を大切にすべきか、地域と考えて選択する必要があると思う。知識だけで判断するのは危ない」と力を込める。
 公立博物館の収蔵品はその地域に住む人々のものだ。自分たちの「宝物」についていま一度、考えたい。