後を絶たない高齢ドライバーの事故に手をこまねいてはいられない。警察庁が打ち出した運転技能検査の創設や、安全運転サポート車(サポカー)限定免許の新設といった対策を急ぐ必要がある。

 交通死亡事故は減っているが、75歳以上の高齢者が起こした死亡事故は昨年、運転免許証を保有する10万人当たり8・2件と、74歳以下の約2・4倍に上った。今年4月に東京・池袋で高齢ドライバーの車が暴走し巻き込まれた母子が亡くなるなど、特にハンドルやアクセル、ブレーキの操作を誤ったとみられる事故が目立つ。

 高齢者の運転を巡る警察庁の意識調査で、「高齢者の運転は危ないと思う」は84・8%、免許制度見直しへの賛成は79・7%に達した。団塊の世代も加わり、75歳以上の免許保有者は2023年には約717万人に達すると予測され、対策強化は避けて通れない。

 新たな技能検査は免許更新時、違反歴がある高齢者に義務付ける。対象年齢は75歳以上か、80歳以上を検討中で、来年の通常国会に道交法改正案を提出し、22年度からの運用を目指すという。

 教習所などのコース上で、実際に運転して右左折などがスムーズにできるかを判定する。何度も受検できるが、合格しなければ免許更新できない仕組みとなる。

 改正道交法で認知機能検査が採用されたものの、認知症だけが事故原因ではない。誰しも加齢に伴い身体機能や判断力が衰え、運転技能も低下する。「権利の剥奪」と反発もあろうが、運転には一定以上の技能が求められる。

 的確に操作できないことが客観的に示されれば、自分の運転がいかに危ないかを自覚できるのではないか。事故を案じ、免許返納を勧める家族らにも歓迎されよう。

 一方、衝突被害軽減ブレーキなどを備えるサポカーに限り運転できる免許は、本人の申請で取得できる制度とする。免許の自主返納を考える高齢者のほか、運転に不安がある場合にも新たな選択肢になるに違いない。

 ただ、車が「生活の足」として欠かせない地域は多い。運転できなければ買い物や通院など生活が立ちゆかなくなる。一方的に高齢ドライバーを排除するのでなく、納得できる制度にすべくより丁寧な制度設計と説明を求めたい。

 併せて車を手放しても困らない環境整備が欠かせない。地域を巡るコミュニティーバスの運行など支援や配慮があってこそ、安心して出歩ける社会が実現する。