医療、年金など社会保障に関わる給付費は昨年度、120兆円を超えた。いわゆる「団塊の世代」が75歳以上になる2022年以降は、さらに膨張する。

 これにどう対応するかは、日本社会の最重要課題である。

 政府の「全世代型社会保障検討会議」が、改革に向けて中間報告をまとめた。

 「全世代」を冠するのは、世代間の公平性を保つ狙いがある。少子高齢化によって、現役世代の負担は重くなる一方だ。軽減するには、高齢者に手厚い給付の抑制を図るしかないとする。

 中間報告では、年齢にとらわれず、収入によって負担と給付のあり方を定める「応能負担」の考え方が強まった。

 医療分野では、75歳以上の後期高齢者が窓口で支払う医療費の負担について、一定の所得がある人を対象に、「原則1割」から2割に引き上げると明記した。

 年金では、現在は60~70歳の間で選択できる受給開始年齢を、75歳にまで広げることが盛り込まれた。受け取りの時期を遅らせるほど、支給を増額する仕組みを導入する。

 現在、企業は希望があれば65歳まで社員を雇わなくてはならないが、さらに70歳まで、就業機会を確保するよう求めている。

 いずれも高齢者に就労を促しながら、負担を増やすやり方である。これにより、医療費や年金の給付額を抑えられるとみている。

 消費税のさらなる税率引き上げが難しい中、改革の方向として、応能負担のほかに選択肢を探すのは難しい。

 とはいえ、収入の限られる高齢になって、医療費の負担が倍増されると、暮らしが成り立たなくなる可能性もある。改革に伴う国民の「痛み」に、配慮をしていくことが求められよう。

 一定の所得があり、引き上げの対象となる人を、どの範囲とするかは、難しい問題だ。

 社員に70歳までの就業機会を用意できない中小企業を、どう支援していくのか。

 これらの課題について、来年6月にもまとめる予定の最終報告では、国民の納得できる具体策が必要となる。

 きのう閣議決定された来年度の政府予算案は、一般会計が102兆円を超え、このうち社会保障関係費は、過去最大の36兆円近くになった。

 予算や税収との関連で、今後の社会保障をどうするのか。これにも政府は、見解を示すべきだ。