2020年の東京五輪を控え、「レガシー」という言葉をよく聞くようになった。遺産を意味するが、五輪で言えば、閉幕後も引き継がれる有形無形の社会的資産を指す▼有形では五輪を機に整備される競技場や、道路などの交通インフラが代表例だろう。無形ではボランティア機運の盛り上がりなどが挙げられるが、財政悪化など負の側面から語られることも多い▼東京五輪では後世に誇ることのできるレガシーの代表にできるだろうか。紆余(うよ)曲折を経て札幌市での開催になったマラソンである。市中心部の約20キロを1周した後、約10キロを2周する変則的な周回コースに、ようやく落ち着いた▼観客の観戦機会を増やし、警備などの負担を軽減する観点から、最近の五輪は周回コースが採用されている。今回もその流れを踏襲した形だが、本番まで残り約7カ月の決定というばたばたぶりである▼酷暑への懸念から国際オリンピック委員会(IOC)は「選手第一」を理由に札幌移転を強引に進めたが、その選手を困らせる結果になってはいないだろうか▼選手が練習に集中できるようコース整備が急がれるが、街全体で競技を盛り上げる雰囲気づくりも重要だ。五輪の花形競技と言われるマラソン。札幌の舞台が名勝負を生んだ、と名を残す遺産にしてほしい。