三条大橋近くの鴨川河川敷に捨てられたごみ。京都市の指定ごみ袋に入れられたごみもあった=10月7日午前7時10分、京都市中京区

三条大橋近くの鴨川河川敷に捨てられたごみ。京都市の指定ごみ袋に入れられたごみもあった=10月7日午前7時10分、京都市中京区

 全長23キロの流域が全て京都市内に入る鴨川。風光明媚(めいび)な京都を象徴する川として親しまれる一方、美観を守るためのごみの不法投棄や景観保全の対策では、河川管理者の京都府と地域の課題に対応する京都市との複雑な関係が潜む。川沿いを歩き、見え隠れする府と市の権限の境界線を探った。
 通勤や散歩、ジョギングをする人たちが行き交う早朝。三条大橋周辺では、さわやかな空気の足元で、タバコの吸い殻や空き缶、ビニール袋が散乱する。市の指定袋に入ったごみも紛れていた。

 鴨川の美化活動を続ける市民団体「鴨川を美しくする会」によると、同橋周辺でごみが目立ち始めたのは今年5月ごろから。夜や週末、ベンチや河川敷で飲食を楽しんだ観光客や若者らがごみを放置して帰るという。河川敷は府、付近の道路やベンチ周辺は市がほぼ毎朝、職員や業者を派遣しごみを回収しているが、時間や頻度が異なり、早朝や週末にごみが残りやすい。
 府によると、鴨川で回収されるごみは年間平均で約100トン。回収費は1億2900万円(本年度見込み)で、人件費の上昇などから増加傾向にある。府の担当者は「市の指定袋に入った家庭ごみでも、河川敷に捨てられていれば府で処理せざるをえない」と漏らす。一方の市は不法投棄を減らそうと、食べ歩き商品を扱う周辺の店舗や観光客が滞在する宿泊施設にごみ箱の設置と回収を依頼するが、「法的な義務ではなく、なかなか進んでいない」(まち美化推進課)という。
 長年「協調」が懸案の府と市に垣根を越えて対策を考えてもらおうと、同会は10月上旬、双方の関係部署に呼び掛けた。土木や観光の担当職員が向き合ったが、根本的な解決策は見つからない。会議後、杉江貞昭事務局長がこぼした。「府と市に一丸になって対応してほしいと言い続けてきたが、一向にごみが減らない。会は半世紀も美化に取り組んでたのに、本当に情けなくなる」
 川と河川敷の管理を巡る問題は、景観面でも垣間見える。夏には納涼床が並ぶ中京区から下京区の河川敷を歩くと、川に面した建物の外壁に、むき出しの室外機と、柵で覆われた室外機とが混在する光景が目に付く。
 違いの背景には、府と市それぞれの景観施策がある。市は建築設備のデザイン規制の一環で、河川や道路に面して建物を新築・改築する場合、エアコン室外機を格子で覆ったり、色を外壁に合わせたりするよう指導してきた。府も足並みをそろえる形で2014年、納涼床が並ぶ二条大橋―五条大橋間の右岸にある室外機を対象にデザイン規定を定め、柵の設置費や塗装費の助成を始めた。
 ただ、府の助成対象は川に近い建物1階以下の室外機のみ。後押しを受けているはずの市景観政策課も「府の取り組みはありがたいが、こちらは室外機だけではなく市域全体の景観を対象としているので…」と連携を探る様子はみられない。改修された室外機は、対象区間にある約300基のうち、わずか39基にとどまる。