JR草津駅東側で基礎工事が進む「(仮称)市民総合交流センター」=草津市大路2丁目

JR草津駅東側で基礎工事が進む「(仮称)市民総合交流センター」=草津市大路2丁目

敷地の地中から見つかった建物の基礎とみられるコンクリート塊(8月8日、草津市大路2丁目)

敷地の地中から見つかった建物の基礎とみられるコンクリート塊(8月8日、草津市大路2丁目)

 滋賀県草津市がJR草津駅東側に建設中の「(仮称)市民総合交流センター」の敷地から大量の産業廃棄物が見つかった問題で、産廃の量が当初の想定より膨らみ、市の除去費も1億円を超える恐れが出ている。元大手スーパーだった同地は19年前、倒産して特別清算中だった不動産会社から当時の地価の約半額で購入し、売買契約には「売り主は土地の隠れた瑕疵(かし)に一切責任を負わない」と市に不利な条件が盛り込まれていた。「今となっては損害賠償請求もできない」状態で、多額の公金を投入しようとする草津市の説明責任が問われている。

 敷地は西友草津店跡地約6500平方メートル(大路2丁目)。今年6月の調査で、敷地全域の地下1~5メートルにコンクリート塊や鉄筋、塩化ビニール製パイプなどが大量に埋まっていることが判明した。汚水の浄化槽も残っていた。
 市まちづくり協働部によると、交流センターの基礎工事と並行して除去を進めており年内に完了の予定。荻下則浩副部長は「全量は不明だが6月の調査での想定より増えた。西友の建物の基礎部分がほぼ全て埋まっていた状態で、除去費が1億円を超す恐れもある」という。市は18年度予算に除去費5千万円を盛り込んだが、さらに不足分について年度内に追加で予算計上する方針だ。
 西友草津店は2000年1月に閉店。市は跡地取得を土地開発公社に委託し、同年6月に東京の不動産会社「日本ランディック」から1万2400平方メートルを14億3500万円で、01年7月に西友から3300平方メートルを4億5100万円で購入した。交流センターの敷地は、不動産会社から取得した土地の一部に当たる。
 同社は1999年に倒産し、特別清算手続き中だった。購入価格は1平方メートル当たり11万6千円。当時の近隣地の基準地価(21万円)の半額ほどだった。買収交渉を担った当時の市企画部長で公社常務理事を兼務していた男性(74)は「駅前の一等地がまとまって手に入る好機で、提示価格が安かったので市としては成功した商談と判断していた」と振り返る。
 売買契約書は、不動産会社が西友建物を解体し更地にした上で引き渡すとし、同時に「売り主は土地の隠れた瑕疵を含む一切の瑕疵の責任を負わない」と、業者側に一方的に有利な瑕疵担保特約が付けられた。西村さんは「条件を庁内で議論した記憶がない。安かった分、業者が示した条件をそのままのんだ」という。
 これに対し、現在の公社職員は「倒産後は責任を負えないからだろうが、相手側に都合のいい内容」と驚く。市が交わす土地売買契約では通常、瑕疵担保を付けずに「疑義があればその都度協議する」と記し、市幹部は「市に責任を負いかぶせている」と不審がる。
 市と公社には2000年11月と01年2月の2度、不動産会社から解体工事の報告書が届き、現場写真も添えられていたが、地中の埋設物には気付かなかった。当時公社事務局長だった男性(72)は「公社は資金調達や登記手続きが主な仕事。業者との交渉や契約は全て市が担った。現場の監督まで公社の責任という感覚はなかった」。西村さんは「どの土地でも埋設物の存在を疑って掘り返しはしなかった」と話す。
 他の自治体ではどうか。滋賀県土地開発公社の担当者は「引き渡し時は見える瑕疵の確認だけで、地中までは調べない。問題点があれば報告を受けるはずで、相手を信じるしかない」。一方、大津市の不動産会社部長(48)は「業界では、土地売買時に契約書とは別に、埋設物や土壌汚染、隣地との境界トラブルがないかなどを記した告知書を交わす」と説明する。
 しかし草津市では、公社に加え、用地買収に関わることが多い道路課や河川課でも告知書は交わさないという。公社常務理事を兼ねる松下正寿総合政策部理事は「今後は告知書導入も視野に入れたい」と話す。

■用途あいまい 活用進まず

 そもそも草津市はなぜ、用途があいまいなまま同跡地を購入し、活用されない状態が続いたのか。その理由を当時、市企画部長として買収交渉を担った男性(74)は「周囲でのマンション増加に不安を抱いた地元から『市主導で利活用を進めてほしい』と強い要請があった。利用策はすぐ決まるだろうと楽観的だった」と振り返る。
 しかし市の思惑は外れ、計画は二転三転する。
 市が当初描いた起業支援拠点や民間医療施設は構想段階で消え、2004年に地場産品を売る市場が暫定開業したが、客足が伸びず翌年に閉店。07年、複合商業施設を計画した市内企業に西側9500平方メートルを17億4600万円で売却したが、事業は頓挫し、08年に公社が同額で買い戻した。
 市は13年以降、市民総合交流センターや認定こども園の整備を打ち出し、ようやく跡地利用の全体像が示された。
 民法は売買契約から10年で損害賠償請求権が消滅すると定め、西友などへ除去費の負担を求めるのは不可能という。市は「西友に問い合わせたが『会社としてできることはない』と回答された」という。

■理不尽な支出 丁寧な説明を

 同志社大の真山達志教授(行政学)の話 根本の問題点は目的がはっきりしないのに土地を購入したことだ。ただ廃棄物除去費の負担が避けられない以上、市には、理不尽な支出が必要となった理由を説明し、行政への不信を最小限度にとどめる努力が求められる。関わった職員OBへの批判になることを恐れず、購入のプロセスで不十分だった点を丁寧に検証し、市民や市議会に示すべきだ。