これまでは向上していたのに一転、低下となった。一体、何があったのか。

 スポーツ庁が、小学5年と中学2年を対象に実施した本年度の全国体力テストの結果である。握力や持久走など実技8種目の合計点平均が、小中の男女とも昨年度より落ちてしまった。

 特に、小5男子は、調査の始まった2008年度以降で最低となった。憂慮される事態だ。

 走力の落ち込みが、目立っている。50メートル走では、小5男子が0・05秒、小5女子と中2男女が0・03秒、遅くなった。中2男子の持久走(1500メートル)のタイムは、6・3秒も悪い。

 こうした結果の要因について、夏場には猛暑が続き、屋外での運動が制限されたためではないかとの見方がある。

 長すぎる部活動は子どもの健康にあまりよくなく、教員の長時間労働を助長するといわれ、これを見直した影響が考えられる。同庁は昨年、週2日以上の休養日を設け、平日は2時間程度とするガイドラインを公表した。

 スマートフォンの普及に伴い、子どもたちの運動時間が短くなった、ともみられている。

 テストに関連した質問では、1日1時間に相当する「週420分以上」の運動をしている子どもが、小5男子で2・6ポイント減の51・4%となったのをはじめ、いずれも昨年度を下回った。

 一方で、スマホやゲーム機、テレビで映像を見る「スクリーンタイム」は、増加している。今では、スマホを持っている小学生も珍しくはない。

 これでは、体力の向上につながる運動時間が、十分取れないというのも、うなずける。有効な対策を、早急に打つべきだ。

 結果を重く受け止めたスポーツ庁は、幼児期から体力向上を図るため、検討会議を設置して改善方法を探る方針を明らかにした。

 ただ、「働き方改革」が進展する中で、対策を学校に任せていては、教員の負担が増すだけで、問題の根本的な解決には、つながらないのではないか。

 スポーツの楽しさを子どもに伝えるとともに、民間企業や地域の取り組みを、うまく活用していく工夫が必要とされよう。

 都道府県別のテスト結果も公表された。京都は小5、中2の男女とも全国平均を下回り、滋賀も中2男子を除いて昨年度より順位を下げたのは、やはり気になる。適切な対応を関係者に求めたい。