出生数の減少に歯止めがかからない。

 2019年生まれの赤ちゃんの数が、1899年の統計開始から初めて90万人を割り込み、昨年より5万4千人少ない過去最少の86万4千人となる見通しとなった。

 国が見込んでいた想定より2年も早いペースだ。

 少子化は年金や介護、医療など社会保障の支え手である現役世代の減少を意味するだけに、出生減が加速している現実は深刻と言わざるを得ない。

 安心して産み、育てられる環境をどう築いていくか。政府は少子化対策の再検証を求められよう。

 平成元年の1989年に生まれた赤ちゃんは全国に124万人いたが、この30年間で約3割減ったことになる。

 大きな要因の一つに未婚化や晩婚化の進行がある。今年結婚したカップルは前年より約3千組少ない58万3千組にとどまり、戦後最少となった。

 だが内閣府が昨年実施した調査では、未婚の20~40代の男女の7割以上が結婚を希望している。

 結婚を望むのにためらうのは、非正規雇用の増加など経済的事情や、子育てと仕事の両立の難しさなどさまざまな要因があるとみられている。

 第2子以降の出産をためらう「2人目の壁」も、教育費などを十分に確保できないことが大きな理由だ。

 結婚観や家族観の変化も含めて結婚を阻む要因を丁寧に分析し、障壁を取り除かない限り、少子化の速度を緩めるのは難しい。

 これまでの少子化対策が無意味だったわけではない。女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は昨年で1・42。2005年の1・26からは改善している。

 だが、子どもを産む世代の女性が減っているため、赤ちゃんの増加に結びつかない現実がある。

 もとより結婚や出産は一人一人の価値観にかかわり、個人の選択の問題である。国の都合を押しつけることがあってはならない。

 若い世代が自然と子を産み、育てたくなる社会にしていく息の長い取り組みが必要だ。

 ただ少子化に歯止めをかけられたとしても人口減は続く。高齢化の進行で19年に亡くなった人の数は137万人を超え、死亡数から出生数を引いた人口の自然減は51万人超で過去最多となる見込みだ。鳥取県の人口に近い。

 人口減に適応しつつ、どう生活の質を維持していくか。その答えも政府には求められている。