カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡って政・業の癒着が疑われている。

 日本でのIR事業参入を目指していた中国企業側から、現金など約370万円相当を不正に受け取ったとして、衆院議員の秋元司容疑者が収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。

 現職国会議員の逮捕は、2010年1月に政治資金規正法違反容疑で逮捕された石川知裕衆院議員(当時)以来の由々しき事態だ。

 秋元容疑者が収賄を疑われているのは、17年8月~18年10月に内閣府副大臣でIRを担当し、観光施策を所管する国土交通副大臣を兼務していた時期である。

 贈賄側で逮捕された容疑者3人の一部は利益供与を認める一方、秋元容疑者は「一切身に覚えがない」と否認している、とされる。所属していた自民党は離党した。

 IRは、安倍晋三政権が成長戦略の目玉と位置づけ、カジノ解禁への根強い反対論を押し切る形で法整備をしてきた。その推進役と参入企業側が裏金でつながり、施策がゆがめられた疑念が拭えない。全容の解明が不可欠だ。

 秋元容疑者は、IR事業に便宜を図ってほしい趣旨と知りながら、中国企業「500ドットコム」から現金300万円と、北海道への旅費など約70万円相当の利益供与を受けた疑いが持たれている。

 同社はオンラインカジノ事業などを手掛ける。17年7月に日本法人を設立し、北海道留寿都村でのIR参入に意欲を示していた。

 翌月、秋元容疑者は同社が那覇市で開いたシンポジウムに登壇。副大臣就任から半年間に中国の本社や留寿都村を相次ぎ訪問したことが明らかになっている。

 急接近は、秋元容疑者がIR導入のキーマンだったからにほかなるまい。16年にはカジノ解禁が柱のIR整備推進法案に野党側が反対する中、衆院内閣委員長として職権での審議入りから3日目で採決を強行。担当副大臣として実施法のIR整備法も成立させた。

 同法に基づく政府のIR整備基本方針案は、懸案のギャンブル依存症対策や都市選定基準が不十分と指摘されている。事業者公募を始めた大阪府・市のほか、誘致表明している横浜市、和歌山県などでも市民らのIRへの不信感が高まるのは必至だろう。

 政権内の収賄事件である。首相の任命責任はもとより、事業に及ぼした影響と計画自体の妥当性についても国会の場で徹底的に検証しなければならない。