<賭博場をつくれって言ってるんじゃないですよ。カジノを中心とした統合型リゾート(IR)施設こそが地方を、いや日本を復活させるんです>。企業買収を扱った「ハゲタカ」など社会派小説で知られる真山仁さんの「バラ色の未来」の一節だ▼題名とは裏腹に、日本初のカジノ開設を描き、ギャンブル依存症への懸念、政界や誘致自治体を揺るがすカジノの実態に迫る。創作とはいえ虚実皮膜のあやか。あたかも東京地検特捜部が着手したIR疑惑を予見したかのようだ▼収賄容疑で逮捕された秋元司衆院議員は、安倍晋三政権が進めるIRの旗振り役を演じてきた。3年前、IR整備推進法案は6時間足らずで審議を打ち切り、衆院から参院へ送られた。その際、衆院内閣委員長として、職権で採決を強行したのは記憶に新しい▼与党内からも拙速過ぎると批判された荒っぽさだった。それでも安倍首相は手腕を買い、翌年、内閣府でIRを担当する副大臣に登用した▼IRは成長戦略の目玉、滞在型観光を実現して地域経済の振興を図る―とあれこれ言葉を弄(ろう)しても、肝はカジノ解禁であろう▼賭博の合法化へルーレットを回した立役者と、さらに利権の渦巻くIRの闇に司法のメスが入った。「日本再生の起爆剤」という金看板がくすんで見え始めた。