京都市営地下鉄烏丸線の12駅で、線路への転落を防止するホーム柵が2028年度をめどに設けられる見通しになった。

 同線では3駅が設置済みで、東西線を含め市営地下鉄全ての駅に取り付けられることになる。

 烏丸線では09~18年の間に利用者が線路に落ちる事例が38件あった。酒に酔った人や視覚障害者が誤って転落するケースが多いといい、ホーム柵はこうした事故の未然防止に貢献しよう。

 速やかに設置を進めてほしい。

 ホーム柵は各地で相次いだ転落事故などを受け、国土交通省が1日平均10万人以上の利用客がいる駅を中心に設置を求めている。

 烏丸線では四条など3駅に設けた。JR西日本も3月に開業した梅小路京都西駅(京都市下京区)に導入、京都駅(同)の一部ホームにも設置するという。

 ただ、柵の設置には多額の費用がかかる。本体工事のほか、車両を定位置に自動停止させる装置を既存車両に搭載する改造費用も必要になる。烏丸線の場合、事業費は約110億円を見込み、苦しい地下鉄の財政をさらに圧迫する。

 今の仕組みでは事業費の大半を市の地下鉄事業会計と一般会計が担い、国補助はわずかだという。

 市は事業費の縮減を図るというが、柵の機能を低下させるようでは困る。内容をよく精査し、財源確保に努めてほしい。

 地下鉄全駅への設置完了のめどが9年後というのも気になる。危険と隣り合わせの状況が長く続くのは好ましくない。

 とりわけ視覚障害者にとっては命に関わる問題でもある。

 国交省の調べでは、全国の鉄道ホームからの転落件数(17年度)2863件のうち、視覚障害者の転落は65件に上る。日本盲人会連合が11年に行ったアンケートでは4割弱が転落の経験があると回答し、その理由では「方向が分からなかった」が最も多かった。

 転落リスクを減らす取り組みが必要だ。線状の突起でホームの内側であることを示す「内方(ないほう)線」を組み込んだ点状ブロックの敷設を増やすなど、視覚障害者の立場をふまえた工夫を重ねてほしい。

 転落の要因では、酔客が全体の3分の2を占める。JR西は酔客の行動をふまえ、ホームのベンチを90度回転させている。取れる対策をしっかり行ってもらいたい。

 自らが飲酒した時はもちろんだが、他の客が危険な場面では声かけをするなど、私たちもホームに潜む危険性に敏感でありたい。