地域の住民が巻き込まれることは、絶対にあってはならない。

 対立抗争で殺傷事件を繰り返す指定暴力団の山口組と神戸山口組を、兵庫や京都など6府県の公安委員会が暴力団対策法に基づき「特定抗争指定暴力団」に指定することを決めた。

 抗争が特に懸念される神戸市や京都市などを「警戒区域」とし、暴力団の活動を厳しく制限する。

 来年1月7日からとなるが、地域の住民が年末年始を平穏に過ごせるよう、各府県警は監視に努めてほしい。

 先月27日、兵庫県尼崎市の駅前で神戸山口組幹部が自動小銃で射殺され、約1時間後に容疑者の男が京都市南区で逮捕された。

 男は山口組を「破門」されたというが、今も関係者とみられている。京都に来たのは、逮捕現場の約2キロ先にある神戸山口組系事務所の幹部を襲撃するためと供述した。第2の銃撃事件が起きる一歩手前だったことに身震いする。

 山口組は2015年に分裂、離脱した神戸山口組との対立が続いている。神戸市では今年8月に山口組系事務所前で組員が銃撃され、10月には神戸山口組系組員2人が射殺された。

 山口組は日本最大の広域暴力団であり、抗争の拡大を何としても食い止めないといけない。

 特定抗争指定暴力団に指定されると、警戒区域内では組員がおおむね5人以上集まることや傘下組事務所の使用などが禁じられ、違反すると逮捕される。

 「集会の自由」など権利の制限にかかわるため、指定は慎重であるべきだが、抗争事件で市民が巻き込まれる恐れを考えると、やむを得ないといえよう。

 警戒区域は京都、神戸のほか尼崎、大阪、名古屋など組事務所などがある市域だが、他への飛び火が心配だ。京都市外や滋賀県でも警戒を怠らないでほしい。

 京都では1990年代に当時の地元暴力団会津小鉄系と山口組系の抗争で、繁華街や住宅地などで発砲事件が相次いだ。人違いで通行人が撃たれ、警戒中の警察官が射殺されている。

 抗争は報復の連鎖を生む。いち早く封じておくことが肝要だ。

 警察白書によると、全国の暴力団構成員・準構成員は昨年3万500人で、年々減少している。一方で特殊詐欺や労働者派遣など新手の資金獲得犯罪が目立つようになっている。指定だけでなく、暴力団が生き残れない社会にしていく必要がある。