MGCで優勝し、東京五輪代表に決まった前田(2019年9月15日、明治神宮外苑)

MGCで優勝し、東京五輪代表に決まった前田(2019年9月15日、明治神宮外苑)

全日本実業団駅伝で快走した鈴木(2019年11月24日、宮城県多賀城市)

全日本実業団駅伝で快走した鈴木(2019年11月24日、宮城県多賀城市)

 2019年9月15日、明治神宮外苑イチョウ並木は熱気と興奮に包まれていた。「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」。男女の上位2人が東京五輪マラソン代表に決まる史上初めての一発勝負の選考会が行われた。女子は前田穂南(天満屋)が五輪代表を決めるゴールテープを切った。気温29・2度。強い日差しを受けながら、今にも泣き出しそうだった。

 圧勝で東京五輪代表をつかんだ。10キロ手前でトップに立つと、20キロ付近からは一人旅。すらりとした長い手足を大きく動かす躍動感あるフォームでぐいぐい進んだ。
 五輪までの強化について天満屋の武冨豊監督は「ハーフマラソンでタイムを狙っていければ。筋力ももっとつけたい」と思い描く。11月下旬の全日本実業団駅伝、前田はエース区間の3区を走った。18位でたすきを受けると、序盤からハイペースで飛ばして区間3位で7人抜き。「スピード強化の一環でいい経験になった」と充実感を漂わせ、武冨監督も「力がついてきている」と評価した。
 2枚目の五輪切符を手にした鈴木亜由子(日本郵政グループ)は終盤で大きく失速し3位の小原怜(天満屋)に4秒差まで追い上げられた。「マラソンの怖さを知った」。引き締まった表情だった。マラソンはまだ2戦目ながら、トラックで磨いたスピードは日本トップ級。全日本実業団駅伝では前田と同じ3区を走って区間2位と優勝に貢献し、五輪へ弾みをつけた。高橋昌彦監督は「2月にハーフマラソンか30キロのレースを経験させたい」と語る。鈴木は「やりきったと思える五輪にしたい」と強い決意をにじませた。
 MGCは東京五輪と同じコースで競わせるということが売りだったが、札幌市への会場変更で日本勢は戦略の練り直しを迫られる。コースはほぼ平たんになり、アフリカ勢とのスピード勝負も予想される。
 世界の高速化は進み、アフリカ勢は2時間10分台で走る。昨年10月には25歳のブリジット・コスゲイ(ケニア)が世界記録を16年ぶりに更新する2時間14分4秒をマークした。日本勢は十数年間、2時間20分を切れていない。五輪では野口みずきがアテネ大会で金メダルに輝いた後は、入賞すらない。
 前田は12月の山陽女子ロードハーフマラソンで自己ベストの1時間9分8秒を記録した。米国で合宿をつみ、全国女子駅伝でどんな走りを見せるのか。注目が集まる。
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 東京五輪イヤーの2020年が幕を開けた。日本女子中長距離の復活はなるか。第38回全国女子駅伝を前に、東京五輪のマラソン代表に決まった2人をはじめ、残る1人の枠を狙うトップ選手、若手が台頭するトラック代表争いを追った。