かんぽ生命保険と日本郵便による保険の不正販売問題で、金融庁が両社の新規保険販売業務を3カ月間停止する行政処分を出した。

 同庁は親会社の日本郵政を含む3社に業務の改善も命じ、経営責任の明確化を求めた。

 顧客軽視の営業手法や自浄作用が働かない組織体質が次々と明らかになり、総務事務次官の情報漏えい問題も加わって、郵政グループへの不信感は増している。

 一連の問題を受け、日本郵政の長門正貢社長ら郵政グループ3社のトップが引責辞任し、長門氏の後任に増田寛也元総務相が就任する人事も決まった。

 不正販売を巡る調査は継続中で、顧客から苦情や問い合わせも相次いでいる。増田氏らは問題の全容解明や被害救済と併せ、組織体制の抜本的な立て直しを進める必要がある。

 不正販売問題に関しては、特別調査委員会が、現場に過大な営業目標が課され、ノルマ達成のための不適切な勧誘につながっていたと指摘している。

 かんぽ生命の保険の9割は日本郵便が委託を受け、全国の郵便局で販売している。低採算の郵便事業を持つ日本郵便にとっては保険の販売手数料収入が経営の命綱で、かんぽ生命も日本郵便社員の営業成績が経営を左右する。

 こうした収益構造が問題の本質と指摘されているが、民間出身の長門氏らこれまでの経営陣は組織改革に踏み出せなかった。

 増田氏は政府の郵政民営化委員会の委員長を務めた経験がある。かんぽ生命と日本郵便の新社長はともに旧郵政省(現総務省)出身で、2007年の民営化当初から郵政グループで勤務してきた。

 3氏とも郵政事業に精通しているはずだ。従業員が40万人を超す巨大組織の構造改革は相当な困難が予想されるが、組織のうみを出し切り、再生につなげてほしい。

 郵政グループは民営化から歴史が浅く、金融庁は昨年9月に公表した金融行政方針で「特に日本郵政のガバナンス(企業統治)の発揮が重要だ」と指摘していた。

 状況を監視するとしたにもかかわらず、一連の不正を防げなかった同庁も、監視のあり方に問題はなかったか検証が必要だろう。

 総務事務次官による行政処分案の漏えい問題は、監督する国との「なれ合い体質」を印象づけ、企業統治の甘さを改めて示した。社会や顧客に認められる企業として生まれかわるために、新経営陣は全力を尽くさねばならない。