年を越すことを祝い、大晦日(おおみそか)の夜にごちそうを食べる習慣が各地にある。この時に食卓に上る魚は「年取り魚」と呼ばれ、東日本はサケ、西日本はブリやタイが代表とされる▼だが近い将来、その魚の顔ぶれが変わるかもしれない。北海道では10年ほど前からサケの定置網に大量のブリが入るようになったのだ。これまで数百トンだった漁獲が近年では多い年で1万トンを超える▼北海道庁の担当者は「ブリを食べる文化がなかったので、今は消費を高めようと取り組んでいる」と話す。京都府でもほとんど取れなかったサワラの漁獲が20年ほど前から急増し、近年では日本一の水揚げとなる年もあるほどだ▼異変の原因は、日本周辺の海水温の上昇である。ブリやサワラは暖かい海流を好む魚で、水温上昇で回遊域が北へ移動したとみられる。水温が上がった理由に定説はないが、地球温暖化の影響が疑われている▼水温の変化で、日本海沿岸ではスルメイカの漁獲が減るという弊害も現れている。この傾向が続けば、冷たい水を好むサケ漁にも影響を与えないか心配だ▼食文化は、各地の気候風土に合わせ、長い年月をかけて培われてきた。それがほんの数十年で変化を迫られる時代である。年末年始は海の幸を味わいつつ、海洋環境の変化に思いをはせてみたい。