1月21日は「初弘法」ですね。いつも私を連れて行ってくれた祖父が、大勢の参拝客を目の前に、口癖のように言っていた言葉があって、思い出してはちょっと噴き出してしまいます。「やっちゃんよ。弘法さんにな、裸で南門から入っていくやろ、そしたら帰りしなにはな、頭のてっぺんから足のつま先まで、果てには胃の中のもんまで全部身につけて帰れるんやで」

 なにもこんな寒空の下、裸で弘法さんへ行くようなばかなまねをする人はきっといないと願いたいものですが、それほど東寺の縁日、弘法市ではさまざまなものが江戸時代から売られていたと聞きます。日用品から骨董(こっとう)品、半紙のように薄いのしイカ、靴、カバンにのれん、夏の日差しが強ければ帽子、冬の凍えた体を温めたければ熱々の関東炊きまで。境内には所狭しと屋台がずらりと並び、早朝からものすごいにぎわいをみせます。参拝も兼ねて弘法さんにトータルコーディネート、お願いしようかしら。


◆小平泰子 こひら・やすこ 1977年京都市生まれ。旬の食材を使い、和食にとらわれず、食材の組み合わせの面白さを提案したレシピを考案。中京区烏丸三条と東京・日本橋で料理教室を開く。近著に「季節の野菜と果物でかんたんおつまみ」がある。インスタグラムはyasukokohiragokan