読心ロボット「ハービイ」が誕生したのは2021年。40年前のその思い出を、ロボ心理学者は回想する―。SF作家アイザック・アシモフの短編を集めて1950年に刊行された「われはロボット」は、人間とロボットが織りなす物語だ▼小説の中で「人間に危害を加えてはならない」などロボット工学三原則を定義した。今も人工知能(AI)の倫理に影響を及ぼす▼100年前の1月2日、アシモフはロシアに生まれた。同じ年に、チェコの作家カレル・チャペックが戯曲で「ロボット」という言葉を創案したのは、不思議な巡り合わせだ▼時を経た現代、膨大なデータから法則や特徴を自ら抽出する技術「ディープラーニング」が進み、AIの時代になりつつある▼中国はウイグル族弾圧に顔認証を駆使した監視技術を用いた。就職情報サイト「リクナビ」は「内定を辞退する確率」を個人データから予測し、勝手に販売した。AIの光と影の濃淡は強まる▼アシモフはただバラ色の未来を描かない。ハービイは、心理学者の心を先回りして相手を傷つけないようにうそをつく。感情や自尊心や希望を傷つけることは「危害ではありませんか」と。心理学者を権力者に置き換えてみると恐ろしい。アシモフはロボットを通じ、人間とは何か問い続けている。