世界選手権ドーハ大会5000メートル代表の田中希実(2019年5月、ヤンマースタジアム長居)

世界選手権ドーハ大会5000メートル代表の田中希実(2019年5月、ヤンマースタジアム長居)

5000メートル東京五輪参加標準記録を突破した広中璃梨佳(2019年9月、ヤンマースタジアム長居)

5000メートル東京五輪参加標準記録を突破した広中璃梨佳(2019年9月、ヤンマースタジアム長居)

 灼熱のカタール・ドーハで昨年10月、外国人選手に交じり身長153センチの小柄な選手が躍動した。世界選手権5000メートル決勝に臨んだ同大2年の田中希実(豊田自動織機TC)。日本歴代2位となる15分0秒01を打ち立てた。予選で東京五輪の参加標準記録(15分10秒0)を突破し、決勝でさらにタイムを伸ばして五輪代表の有力候補に名乗りを上げた。
 2018年にはU20(20歳未満)世界選手権3000メートルで優勝。シニア日本代表として初の世界大会で結果を残した20歳のホープは「レース前の緊張をどうコントロールするかを学んだ。場内の盛り上がりも日本の大会では味わえない雰囲気。限りなく五輪に近い雰囲気は味わえたかな」。飛躍の一年を笑顔で振り返った。
 ドーハの世界選手権から約2カ月後。杜の都・仙台で存在感を示したのが、19歳の広中璃梨佳(日本郵政グループ)だった。全日本実業団駅伝1区で、高卒ルーキーながら圧巻の走りで区間新記録。チームの3年ぶりの優勝に大きく貢献し大会MVPを獲得した。
 12月の記録会では、5000メートルで日本歴代5位となる15分5秒40をマーク。田中に続いて東京五輪の参加標準記録を突破した。6月の日本選手権でも5000メートルで3位に入るなど、ロードだけでなくトラックでも強さを発揮している。
 低調気味だった日本女子のトラック長距離で、田中、広中の若手2人の活躍は目を見張る。田中は「プレッシャーよりも、日本国内でハイレベルな争いになってきたことで緊張感がある。お互いが自分の苦手なところをつぶして、もっと上のレベルで競い合えるようにしたい」と、ライバルの存在を歓迎する。
 ベテランも自国開催の大舞台を念頭に置く。1万メートルではロンドン五輪代表で31歳の新谷仁美(東京陸協)が東京五輪参加標準記録(31分25秒00)をクリアした。世界選手権1万メートルに出場した山ノ内みなみ(京セラ)は「見据えるのは世界と対等に戦うこと。まずは代表をつかみたい」と闘志を燃やす。日本陸連の代表選考要項には世界ランキングも選考基準に盛り込まれた。トラックの勝負とランキングの行方とが相まって、代表争いは一層激しくなりそうだ。
 12日の全国女子駅伝に田中は兵庫から出場する。「その時期は調子を落としていることが多いが、(うまく)走れたらまた違ったシーズンになるのかなと思うと、わくわくする。しっかり準備したい」。五輪イヤーの初戦、強い気持ちで臨む。 

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 東京五輪イヤーの2020年が幕を開けた。日本女子中長距離の復活はなるか。第38回全国女子駅伝を前に、東京五輪のマラソン代表に決まった2人をはじめ、残る1人の枠を狙うトップ選手、若手が台頭するトラック代表争いを追った。