五輪イヤーが幕開けした。招致PRの決めぜりふが「おもてなし」だったが、客の要望を先回りする手厚さを誇ってきた日本流サービスがいま、きしみの音を立てている。

 「人手が足りない!」と至る所から響いている。

 24時間営業を看板に急拡大したコンビニ業界が代表だ。地域人口の減少から働き手や客の奪い合いが激化。疲弊した店主らの悲鳴に大手3社は時短営業の容認にかじを切った。元日も一部店舗で休業する実験をした。

 スーパーや外食チェーンでも元日休業が広がった。働き方改革なしに人手集めもままならない危機感がある。郵便物の土曜配達取りやめやJR西日本の終電繰り上げが検討されているのも同様だ。

 サービス水準を下げるだけではじり貧に陥りかねず、代わる魅力と持続性のあるビジネスモデルの再構築が求められる。

 逆に「過剰」のきしみが聞かれるのが観光だ。訪日客急増の陰で混雑、ごみなど住民生活に影響を及ぼす「観光公害」が京都市でも深刻になっている。

 政府は、五輪観戦などで訪日客4千万人目標の達成を掲げるが、許容限度を超えれば、もてなしどころではなくなる。生活との調和と地方への分散に具体的な手だてが要る。

 新年も引き続き、日本経済は米中貿易摩擦の動向に揺さぶられそうだ。先月の米中協議で緩和方向に動いたが、火種は残っている。

 1日からは日米貿易協定が発効した。米国産牛肉、ワインなどの関税が一気に下げられた一方、米政権による追加関税の脅しに日本車・関連部品の関税撤廃は先送りされた。

 中国はじめ世界経済の減速は続き、輸出の低迷で国内製造業の環境は厳しくなっている。外需不振を堅調な内需が補ってきたが、昨秋の消費増税がどこまで影響するか注意が必要だ。

 増税後の反動減がみられた消費は、軽減税率やポイント還元策などである程度下支えされるほか、人手不足を補う省力化設備への投資などで景気の底割れは避けられるとの見方が多い。

 ただ、五輪後の失速への懸念もある。政府は、大型経済対策の効果で新年度の実質国内総生産(GDP)成長率1・4%と強気の見通しだが、民間エコノミストの多くは成長率0%台半ばの横ばいを予想している。

 8年目を迎えるアベノミクスは行き詰まっている。短期集中で大規模な金融緩和と財政出動の間に第3の矢・成長戦略を軌道に乗せるはずが、増えた企業収益が循環しないまま金融・財政政策への依存体質をむしろ深めている。銀行の収益悪化や財政規律の緩みなど弊害は増しており、大規模緩和の「出口」探しを投げ出してはならない。

 IT社会で集まる個人情報の管理が課題となる一方、ネットを介して必要な物を貸し借りしたり、所有せず必要な時だけ使ったりするシェア経済や定額制サービスも広がりつつある。

 労働力や資源、環境の制約が強まる中、本当に必要な価値は何か選択眼が問われる時代だ。