昨年6月に本格化した香港の反政府デモは、年を越してなお収束する気配はない。

 高度な自治権を保障されたはずの「一国二制度」崩壊に対する、市民の強い危機感がある。中心となったのは若者たちだ。

 活動は支持を集め、同11月に実施された香港区議会選挙では民主派が8割超の議席を獲得して圧勝した。しかし、中国指導部は「暴力と混乱を制止する」と強硬姿勢を変えていない。

 国内の民主化運動につながることを恐れているからだ。

 昨年は中国建国70年、そして天安門事件から30年の節目だった。米国と覇権を争うほどの大国となったが、民主化を拒絶する姿勢は国際社会の強い失望と警戒感を招いている。

 とりわけ習近平指導部は、国家主席の任期制限を廃して長期支配を可能にし、強権化を進めている。

 香港の抗議運動は、自治が保障されるかどうかの道筋が示されないままでは終わらないだろう。強硬姿勢はさらに反発を招くだけではないか。

 中国と米国。二つの超大国で民主主義のコントロールが利かなくなっているのは国際社会にとって心配な問題だ。

 米中の貿易摩擦は米国からの農産品輸入や追加関税の一部引き下げなど「第1段階」の措置に合意し、ひとまず休戦した。

 しかし、対立の火種は残ったままだ。世界経済への影響が引き続き懸念される。

 トランプ米大統領は11月の大統領選に向け、再選の意欲をあらわにしている。あらゆる政策判断において、大統領選での勝利につながるかどうかを優先しているようだ。

 自分に不利な報道があると「フェイクニュース」と断じ、激しく反撃する。議論を重ねて合意を探るという民主的なプロセスを軽視する―。

 そんな「トランプ流」が世界にはびこり、多くの国で強権的な指導者が誕生している。

 米議会下院はウクライナを巡る疑惑でトランプ氏を弾劾訴追したが、上院は与党共和党が多数を占める。トランプ氏は無罪となる可能性が濃厚だ。

 米世論も大きく割れ、政治の分断がいっそう浮き彫りになっている。米の民主主義の在り方が問われている。

 一方、民主主義の手本とされる英国で混迷を深めた欧州連合(EU)離脱問題は、昨年12月の下院総選挙で保守党が勝利し、ようやく動き出した。

 今月にも離脱が可能になり、課題はEUとの貿易協定交渉に移ることになる。だが、国内対立が顕在化した。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、この2年間でトランプ氏と3回会談した。一時は雪解けムードもあったが再びミサイル発射を始め、強硬姿勢を示している。北東アジアの安全保障上の不安要因だ。

 ロシアのプーチン大統領も強権ぶりを発揮している。

 米大統領選と英国のEU離脱は、2020年の焦点となろう。そうした中、日本の果たす役割も改めて問われそうだ。