京都市長選(1月19日告示、2月2日投開票)を前に、京都新聞社は独自に主な立候補予定者による討論会を開き、現職の門川大作氏(69)=公明党、自民党京都府連、立憲民主党府連、国民民主党府連、社民党府連推薦、弁護士の福山和人氏(58)=共産党、れいわ新選組推薦、市議の村山祥栄氏(41)の3人が、争点となる課題を巡り議論を交わした。テーマ別に4回に分けて紹介する。=敬称略

立候補の理由

-なぜ立候補をするのか。3期12年の門川市長の市政をどう評価するか。

 門川 教育、子育て支援を中心にさまざまな課題に挑戦した。福祉施設は10年で2・1倍に増やし、待機児童は保育所が6年連続、学童保育は8年連続ゼロだ。京都経済センターの開設や文化庁の京都移転なども実現した。4期目はその延長線で仕事をするつもりはない。国や京都府との連携を強化してしっかりとしたビジョンを示し、市民が住み続けたい、働きたい、学びたい、子育てしたいと思える京都をつくりたい。

 福山 20年近く弁護士として市民の困りごとのサポートをしてきた。必ずしも行政は真摯(しんし)な対応をしていない。生活保護や働き方の権利など、対症療法的だけではなく大本の仕組みを変える必要がある。市政のありようは十分に評価できない部分も多々ある。市職員も福祉関連予算も減らしており、市民生活がしわ寄せを受けている。暮らしの応援や自治力の向上に取り組みたい。

 村山 門川市長は市民に近い市長だし、ハード整備にも力を入れて市民が便利になっている面はある。だが、財政難が行き着くところまできた。財政はすべての根幹で、それがしっかりできていないのが1番の問題だ。また、20代、30代の若者が住むところ、働くところがなく出て行ってしまっている。これは都市にとって希望がない。観光公害対策ももっと早く手を打つべきだった。

 門川 10年前に市の基本計画を作った時には人口が5万人減ると予測されたが、実際はほぼ横ばいだ。働く人も増えている。ホテルが多い南区や中京区などでは人口が増えており、一方的な批判は市民や事業者の混乱を招く。10年ごとの計画に対する評価をいただきたい。

 福山 非常に楽観的なお話かなと思う。中学校給食や子ども医療費などを考えると、門川市長が言う「子育て環境日本一」はお寒い状況。観光誘致が地価高騰を引き起こし、若者が中心部に住み続けられないというのは周知のところだ。

 村山 ホテルは人口流出の一因だが、交通アクセスの問題や若者の居住のニーズが郊外型から都心型に変わっているというのもある。複合的に考えていかなければならない。

観光公害の対策

-観光政策に関する考えは。

 福山 観光客誘致は限界にきている。市民は市バスに乗れないし、民泊トラブルもある。ホテルが急増し、誘導規制だけでは限界がある。総量規制に踏み込むべきだ。

 村山 混雑の問題や市民の不満をいったん整理すれば、受け入れる余力はある。今は観光公害をかき消すための努力をすべき。バルセロナのようにホテルの総量規制をやらないといけない。宿泊税は全額交通混雑の解消に充てる。ホテルと協定を結んで避難場所として開放するなど、市民が観光のプラス面を実感できるようにすることも大事だ。

 門川 市民生活の快適さなき観光振興はない。政策の総点検を行い、混雑、マナー、宿泊施設の急増という三つをテーマに50の取り組みを打ち出した。例えば、ICカードを活用して観光客と市民で市バス運賃に差をつけるとか、マナーを外国まで発信するとか。観光客に対してさらに負担を求める方法も研究したい。

 福山 観光消費額は急増しているが、法人市民税収入は減っている。東京や外資のホテルにはお金が流れているが、京都には落ちていない。京都の人には潤っている実感がない。地元の合意も大切にすべき。小学校跡地をホテルに売却するというのは本当にいいのか。門川さんは「ホテルは遠慮する」と言っているが、それなら仁和寺前や元植柳小のホテルはやめるつもりはあるのか。

 村山 ホテルを止めるのが遅きに失したのは間違いない。マナー問題は、シンガポールのように「京都はマナーにうるさい」というイメージを持ってもらう仕掛けが必要だ。ごみを排出する事業者にごみ箱の設置を求めるとか、いろんなことができると思う。

 門川 小学校跡地は徹底して地域住民の意見を聞いて決めている。全くの事実誤認だ。今後は、よほどでない限り産業施設や研究開発施設にしていこうと打ち出した。観光消費額の増加が経済活性化や雇用改善にプラスになっていることは事実だ。市バスは昨年、全体で18億円の黒字になっていることも市民に知ってもらいたい。

 福山 仁和寺前と植柳小跡のホテルをどうするんですか。進めるんですか。

 門川 地域住民の声ですね。

 福山 進めるんですか、どうするんですか。

 門川 地域住民の声によって判断していく。

 村山 地域住民の声というのはちょっと違う。小学校の跡地なんて全部ホテルになった。

 門川 ホテルになったのって、清水と立誠と白川しかない。

 福山 現に反対している人がいる。世界遺産のど真ん中にホテルを建てることを強行していいんですか。

 門川 住民の多くは賛同している。

 村山 僕は仁和寺はいいと思うが、植柳は市民のニーズにきちんと応えられていないと思っている。

 福山 門川さんは町内会や自治連のトップの方の意見を聞いている。住民全体の声として聞いてほしい。

 門川 これまで1万カ所を訪ねて若い人や学生さんからも話を聞いている。代表の意見だけを聞いているとは事実誤認だ。

 福山 1万回というが、あいさつに行ったのを1件と数えているんじゃないか。

 門川 とんでもない。