カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件が拡大の様相を見せている。カジノ利権の闇は深く、多くの政治家が関わっていた疑いが強まった。

 東京地検特捜部が昨年末、収賄容疑で逮捕した元内閣府副大臣の秋元司衆院議員以外に、贈賄の疑いが持たれている中国企業側は、閣僚経験者ら国会議員5人への現金提供も供述しているという。

 岩屋毅前防衛相ら自民党の4議員は現金受領を否定している。

 しかし、日本維新の会の下地幹郎元郵政民営化担当相は現金100万円を受け取ったと認めた。政治資金や選挙運動に関する収支報告書には記載しておらず、「政治資金規正法違反だ。議員辞職すべきだ」(維新の松井一郎代表)との批判は当然といえよう。

 超党派の国際観光産業振興議員連盟(IR議連)の副会長を務めた下地氏をはじめ、5議員はいずれもカジノ推進派だ。中国企業側がIR推進に熱心な議連メンバーに狙いを定め、政界工作を図った可能性がある。IR制度の根幹がゆがめられていないだろうか。

 IRは安倍晋三内閣が掲げた成長戦略の目玉である。「政権の利権」(枝野幸男立憲民主党代表)ともいえ、国民の疑念は強い。

 職務権限など立件へのハードルは高いとはいえ、特捜部に粘り強い捜査を求めたい。疑惑をかけられた議員も、自ら積極的に説明責任を果たすべきではないか。20日召集予定の通常国会でも徹底的に検証しなければなるまい。

 IR事業は訪日客増加や雇用創出の効果を期待できるものの、カジノ解禁が前提となる。ギャンブル依存症対策や青少年への悪影響、暴力団組織の介入といった課題が解決したわけではない。

 事件発覚前の昨年12月に日本世論調査会が行った調査で、IR整備に反対の人は64%と、賛成の32%を大きく上回った。効果への期待より、カジノの弊害に対する懸念の強い表れといえる。

 IRに絡む疑惑が深まる中、きのうカジノ管理委員会が発足した。カジノの運営事業者を監督し、マネーロンダリング(資金洗浄)やギャンブル依存症の対策を担う。

 政府は「観光立国を目指す上で必要だ。今回の事件とは明らかに次元が違う」(菅義偉官房長官)とIRの意義を強調し、予定通りにIR事業を推進する意向だ。

 だが国民の視線は厳しい。いったん立ち止まり、まずは事件の真相を解明し、IR整備の問題点を洗い直すのが先決である。