謎の模型たち、さざめく

発注主への完成予想品か、制作者の分業のためか

 仏像や人物像のひな型を並べた特集展示「仏像ひな型の世界」が1月9日から、京都市下京区の龍谷ミュージアムで開かれる。江戸時代から15代続いた京都の仏師・畑治良右衛門が伝えてきたひな型約400点のうち58件と、関連資料4件を紹介する。

花園法皇坐像(康知作 1658年)妙心寺蔵
花園法皇坐像(康知作 江戸時代)
毘沙門天・持国天立像 頭部(康朝作 江戸時代)

 ひな型は、実物を小さくかたどって作った模型のことで、今回展示される像も大きいもので高さ30センチほど。しかし、最近の調査では妙心寺所蔵の花園法皇坐像のように「完成品」と一致するひな型もあった。このほか、四条天皇坐像(泉涌寺蔵)や、関ケ原の戦いの直前、徳川家康家臣の鳥居元忠とともに伏見城に籠った上林竹庵の坐像(上林記念館蔵)が一致例として並ぶ(完成品は写真展示)。

四条天皇坐像(康乗作 江戸時代)
上林竹庵坐像(康知作 江戸時代)

 実は、ひな型は謎に包まれている。誰が何のために作ったのか、制作者や時期、意図でさえ分かっていないものが多い。像の発注主に完成予想を示すためか、像の制作にあたり分業を効率よく進めるためか。見れば見るほど、想像は広がっていく。

 完成品と見比べると、衣装襞(ひだ)や表情をかたどる皺(しわ)まで細かく彫り込まれていることが分かる。顔と胸だけの部分的に制作されたものや、実物同様に分解できるひな型もあり、同じ工程で作られたことがうかがえる。一方で綿密に作り込まれていない、未完成と思われる粗いひな型もある。

僧形胸像(江戸時代)
東照大権現坐像(江戸時代)
弘法大師坐像(畑治郎右衛門作 江戸時代)

 治良右衛門は、平安時代の仏師定朝から鎌倉時代の運慶・快慶に連なる名門「七条仏師」と呼ばれる流派の傍流に位置づけられるという。代々京都で仏像を手掛け、一門に弟子入りした記録が残る。

 あわせて、6回目となるシリーズ展「仏教の思想と文化-インドから日本へ」も開催している。



【会期】1月9日(木)~2月9日(日)、2月22日(土)~3月22日(日)月曜休館(1月13日、2月24日は開館)
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
【会場】龍谷大学 龍谷ミュージアム(京都市下京区堀川通正面下ル、西本願寺前)
【主催】龍谷大学 龍谷ミュージアム、京都新聞
【入場料】一般550円(450円)、シニア(65歳以上)450円(350円)、大学生400円(300円)、高校生300円(200円)
※かっこ内は20人以上の団体。中学生以下、障害者手帳提示の人と付き添い1人までは無料
【問い合わせ】龍谷大学 龍谷ミュージアム 075(351)2500