「グジのカマ置いといたえー。取りにおいない」。懇意にしている錦市場の魚屋さんが、また今年もお電話をくださいました。この時期、京都の名だたる料亭がかぶら蒸しを作るために大量のグジ(アマダイ)の注文をするそうで、「カマだけは要らん」とお店には立派なグジのお頭の大群がドドンと残るんだとか。それをどら猫のごとく私が虎視眈々(たんたん)と狙っている、というわけなんですがとても重宝するんです。

 まずは塩焼きにスダチをぎゅーっと搾って。それからサッと湯通ししてうろこや血を取り除いて酒蒸しにするのもいいですね。カマから身をほぐしてかぶら蒸しにするのもお酒が進みます。あまりにもきれいに身を食べきるので、家族が「あんたが魚を食べると猫も鳴くわ」と冗談を言うほど。魚の中でもグジは捨てるところがないくらいにいろんな調理法があります。今の時期、京都を歩けばグジのカマが簡単に手に入りますのでどうぞ試してみてください。


◆小平泰子 こひら・やすこ 1977年京都市生まれ。旬の食材を使い、和食にとらわれず、食材の組み合わせの面白さを提案したレシピを考案。中京区烏丸三条と東京・日本橋で料理教室を開く。近著に「季節の野菜と果物でかんたんおつまみ」がある。インスタグラムはyasukokohiragokan