おすすめの絵本「どこいったん」と絵本専門士の認定証を持つ森武さん(京田辺市河原・山城書店)

おすすめの絵本「どこいったん」と絵本専門士の認定証を持つ森武さん(京田辺市河原・山城書店)

手製の指人形を使いながら、おすすめ絵本「どのはな いちばんすきなはな?」を紹介する西村さん(宇治市五ケ庄・東宇治図書館)

手製の指人形を使いながら、おすすめ絵本「どのはな いちばんすきなはな?」を紹介する西村さん(宇治市五ケ庄・東宇治図書館)

 絵本についての高度な知識や技能を備えた人を認定する「絵本専門士」の人気が高まっている。年々申し込みが増え、本年度の養成講座の受講倍率はなんと20倍。まだ京都府に6人、滋賀県に1人しかいない狭き門だ。多彩な講師陣から得られる深い専門知識が魅力になっているとみられ、「絵本のスペシャリスト」は今後さらに注目を集めそうだ。

 絵本専門士は、読書習慣を育む入り口として絵本の持つ重要性に着目し、独立行政法人・国立青少年教育振興機構(東京都渋谷区)が2014年に創設した。絵本や子どもの知識にとどまらず、イベントを運営する技能、絵本の制作に必要な感性などを学ぶ計30コマの講義を受け、修了課題をクリアすると認定が得られる。
 ただ、実技も多い講座の質を確保するため、応募は司書や保育士といった有資格者、3年以上の読み聞かせなどの活動経験がある人に限定する。書類審査でさらに絞り込まれ、本年度は約1400人の応募に対し、受講できたのは72人。これまでの5期でも計約280人の難関となっている。
 絵本専門士委員会の事務局は、人気の理由を絵本作家や翻訳家、研究者や児童書店関係者ら絵本のプロが講師となるなど「さまざまな業界の詳しい知識を得られることが評価されているようだ」と分析。受講者の満足度が高く、口コミで受講希望者が増えている面もあるという。
 京滋でも、絵本専門士は増えつつある。16年に認定を受けた東宇治図書館の司書、西村恵里香さん(47)は、児童書担当になって読み聞かせをする機会が増える中、これまでのノウハウが通用しないと痛感。「さらに深い知識を身につけたい」と受講を決意した。
 東京で開かれる講義に2日ずつ計5回通い、絵本の歴史や指人形で読み聞かせをする手法など幅広く学んだ。絵本の書評をまとめる講義では「小説なら内容を紹介すればいいが、絵本は絵の紹介もいる。字の読めない子の立場に立って、いい絵本なのかを考える大切さを知った」と振り返る。
 19年6月に認定証を受け取った京田辺市河原の山城書店店長、森武紀明さん(47)は、絵本の品ぞろえを意識する中で「お客さんに、もっと本を選ぶアドバイスができれば」と申し込み、「運良く受講できました」。講義では、絵だけの本に物語を加えるなど創作についても学び、同期の受講生とイベントを開くなど、横のつながりも生まれた。「絵本は毎日のように新作が出る。まだまだ勉強を続けていきたい」と未来の読者を増やそうと意気込んでいる。
 人気の高まりを受け、機構は本年度から、学生向けに大学や短期大で講義の一環として行う「認定絵本士」の養成制度も始めた。絵本専門士の派遣を求める依頼も増えているといい、事務局は「より絵本の知識を深められ、活動や仕事の幅を広げることにもつなげられます」と専門士への挑戦を呼び掛けている。