ナポリから職人を招いて作った窯でピザを焼く大削さん(宇治市宇治、アンティカ・ピッツェリア・ラジネッロ)

ナポリから職人を招いて作った窯でピザを焼く大削さん(宇治市宇治、アンティカ・ピッツェリア・ラジネッロ)

 「サクッ、もちっ」という焼き上がりの生地の食感が魅力のナポリピザ。大削恭介(おおげ・きょうすけ)さん(37)は16年ぶりに戻った出身地の京都府宇治市で昨年11月末、ナポリピザ専門店「アンティカ・ピッツェリア・ラジネッロ」をオープンした。「ナポリピザは450度から500度の窯で1~2分で焼くぶん、早く冷めがち。熱々の『ゴールデンタイム』の感動を味わってほしい」と力を込める。

 本場のイタリア・ナポリで2009年に約7カ月間、修業した。調理師専門学校を卒業後に就職した京都市内のイタリア料理店で、業務用オーブンを使ってピザ作りに取り組むうち、「窯で焼く伝統を学びたい」との思いが強まった。
 修業先は、ナポリピザ専門店がひしめく激戦区で、1日に400~千枚を焼き上げる人気店。ソウルフードであるだけに客のレベルの高さを肌で感じる中で、日々、腕を磨いた。「今日は誰が焼いているかを、見に来たり電話で確かめたりして、店に入るかを決める人もいた」
 帰国して東京のナポリピザ専門店で約10年間働いた後、「自分の店を出すならば、高校時代の通学ルートで思い入れが深い宇治橋通に」との思いで昨年2月に宇治市へ戻り、物件を借りた。3月には千葉市で開かれた「第6回ナポリピッツァ職人世界選手権日本大会」で、クラシカ部門で3位、別の部門で準優勝。ナポリであった7月の「ナポリピッツァオリンピック」にも日本代表として出場し、開店へ自信を深めた。
 ナポリピザは手だけで生地を延ばすため、感覚がものをいう。「タッチ数を少なくして生地にストレスを与えないことで、ふわりと焼き上がり、食感と香りをしっかり表現するように心掛けている」と語る。
 開店から1カ月半。本場ナポリにある38種類のピザを提供し、ガラス窓を多く配置した開放的な店では多くの客の笑顔が広がる。「常連を増やし、地元に根付いた店にしたい。宇治にナポリピザの歴史を作り、このまちを盛り上げていきたい」と志を抱く。京都市東山区在住。