故郷の熊本県嘉島町の成人式で、舞を披露する先斗町の舞妓(当時)多香さん=2017年撮影、おおきに財団提供

故郷の熊本県嘉島町の成人式で、舞を披露する先斗町の舞妓(当時)多香さん=2017年撮影、おおきに財団提供

 京都の花街で20歳を迎える舞妓が、出身地で行われる成人式に出席できるよう支援する取り組みを、京都伝統伎芸振興財団(おおきに財団)が続けている。今年も「成人の日」の13日前後に、3人が制度を利用して帰郷。式典で精進してきた舞を披露し、「故郷に錦」を飾り、花街の文化を発信する。

 おおきに財団の「舞妓の故郷帰り支援事業」は、新成人になる五花街の舞妓が対象。成人式で舞踊などの伎芸を披露することが条件で、本人と三味線を演奏する地方(じかた)の交通費と花代(出演料)を、財団が助成する。地元自治体など式典主催者との折衝は財団が担う。
 2015年度にスタートし、これまでに7人が利用し、5人が熊本、長崎などの遠方を含む5市町の式典に出席した。都合で帰郷できなくなった2人も「第二の故郷」京都市の成人式で舞台に立った。多くが日帰りか1泊2日の忙しい旅になるが、本人にとっては晴れ姿をふるさとで見てもらえる、またとない機会となる。
 祇園甲部の美月さん(20)は13日、出身地の神奈川県藤沢市で行われる式典に出席する。舞台上では「祇園小唄」などの舞を披露する予定で「同級生でも私が舞妓になったことを知らない子が多い。記念になります」と声を弾ませる。また先斗町の秀眞衣(ひでまい)さん(20)が山口県下関市、祇園甲部のまめ衣(きぬ)さん(20)も熊本県山鹿市にそれぞれ帰郷する。
 舞妓が出演する成人式には、地元メディアも多く取材に訪れる。おおきに財団は「普段はなじみのない人たちにも、舞妓の晴れ姿を通じて花街文化に幅広く興味を持ってもらえるきっかけにもなる」と狙いを話す。
 親元を離れて、芸事に精進してきた舞妓の姿は、新成人に思わぬ効果を与えることも。「式典で騒がしかった若者が舞台が始まると真剣に見てくれた、と報告をいただくことも」と同財団。「地方出身の舞妓が多くなるなか、意義のある事業だと思う」としている。