かんぽ生命保険の不正販売問題で失墜した信頼をいかに取り戻すのか。新経営陣は難しいかじ取りを迫られよう。

 日本郵政の増田寛也新社長ら郵政グループ3社のトップが、就任後初めての記者会見に臨んだ。

 増田氏は、不正販売を「創立以来の最大の危機」と強調し、不利益を与えた顧客の被害回復を優先する意向を示した。

 被害の全貌はいまだ見えず、不正拡大の温床と指摘された組織風土の改革、収益構造の見直しにもめどをつけなければならない。

 まずは被害の救済と不正契約の把握に、全力を尽くしてほしい。

 不正販売問題では、2018年度までの5年間で不適切な契約の疑いがある約18万3千件について特別調査委員会が調べ、法令や社内規定に違反した可能性がある約1万2千件を特定した。

 会見で増田氏は、約3千万件の全契約についても、疑わしい契約の有無を調べるとした。

 郵政グループは、全契約者に対して、意向に沿った契約かどうかをはがきで確認しているが、返信があったのは約100万通にとどまっている。

 特別調査委によると、不正に契約を結ばされた顧客の7割超が60歳以上の高齢者だった。粘り強く意向確認する必要があるだろう。

 風通しの悪さが指摘された組織の改革に向けては、法令順守や企業統治の改善策を検討する専門組織を設け、外部の専門家も招くとした。

 国との「なれ合い体質」を浮き彫りにした前総務事務次官の情報漏えい問題で、調査・検証する考えを示したことは評価したい。

 ただ、前次官から処分の検討状況を聞き出していた日本郵政の上級副社長は、すでに退任している。総務相や政府の郵政民営化委員長を務め、郵政事業の内情を知る増田氏がどこまで組織に切り込み、改革や実態解明につなげられるか、手腕が問われよう。

 不正販売問題で株価が低迷し、政府は日本郵政株の19年度中の売却を見送る方針を固めている。

 経営の自由度が増す完全民営化が遠のく一方で、全国一律の「ユニバーサルサービス」を義務付けられた郵便事業をかんぽ生命とゆうちょ銀行の金融2事業で支える郵政グループの収益構造は大きく揺らいでいる。

 増田氏は今後の営業再開や成長戦略については明言を避けたが、郵政再建へ、新経営陣は自立へのプランも早期に示す必要がある。