「一富士、二鷹(たか)、三茄子(なすび)」は縁起の良い初夢とされてきた。その続きがあり、「四扇、五煙草(たばこ)、六座頭(ざとう)」もめでたいという。諸説あるものの、扇は末広がり、紫煙は上へ上へと昇り、僧形の琵琶法師は毛がなく、けがない(息災)に通じるとか▼南米原産のたばこは南蛮貿易によって日本に伝来し、16世紀末以降、喫煙の風習が広がったそうだ。かつて運気上昇の象徴ともされたたばこだが、昨今、やたらと周囲から煙たがられる▼いよいよ五輪イヤーを迎え、4月から飲食店やホテルなども罰則付きで原則屋内禁煙となる。昨年7月以降、受動喫煙の影響を受けやすい子どもや病人、妊婦らが利用する学校や病院などは一足早く禁煙化された▼国際オリンピック委員会(IOC)は1988年に五輪の禁煙方針を採択して、競技会場内外での禁煙を推進してきた。スポーツの祭典は健康的な環境の下で催されるべきというわけだ▼IOCが掲げる「禁煙五輪」に向け、日本も健康増進法を改正。いまだ不十分とはいえ、受動喫煙対策は強化されつつある▼愛煙家にとって煙たい世情に違いない。たばこが縁起物扱いなんて、今や夢のまた夢だろう。だが喫煙はわが身だけでなく、周りの人たちの健康をもむしばむ。世界的な禁煙化の潮流に背を向けてはなるまい。