福知山市役所の情報公開コーナー。情報公開請求に関する市の指針について懸念の声が上がっている(同市内記)

福知山市役所の情報公開コーナー。情報公開請求に関する市の指針について懸念の声が上がっている(同市内記)

 京都府福知山市が、市民が行う情報公開請求で、「開示請求権の乱用」を理由に、開示を拒否できるとする指針を作成した。対象の文書が大量だったり、情報公開の目的を逸脱したりしている請求を想定している。市は「公開が原則で、請求を制限するものではない」とするが、専門家は「本来は権利乱用でない請求も不開示にされる恐れがある」と懸念する。

 指針では、不開示決定を行う際の二つの判断要件を明示。一つ目は、請求対象の公文書が大量の上、開示決定までに長期間を要し、通常業務に支障が出る場合。職員が業務をしながら全ての文書の開示決定まで約1年を超えるかどうかや、請求者側の言動から業務への支障が目的と認められる場合などを判断要素に挙げている。
 二つ目は、市情報公開条例の目的や趣旨を逸脱した請求。開示請求した文書を閲覧する意思がなかったり、特定の人物や団体などを誹謗(ひぼう)・中傷する目的で使用したりする恐れがあると認められた場合などに、判断するとしている。
 市によると、2010年度は440件だった請求が、14年度は721件、17年度は1893件と増加。さらに18年度に対象の文書が3万枚を超える請求があったことをきっかけに庁内で議論を始め、指針を作成した。
 市市民課は「今後、大量の文書公開が必要な請求が頻発した時に庁内で統一した対応を取るために作った。そういう請求があっても即却下することはない」と強調する。指針にも請求者へ公開までに相当の期間がかかることの説明や、請求対象を限定してもらうための情報提供を行うことを明記した。
 一方、同市では18年、市内の中学校でのいじめを巡る訴訟に関して、訴えた生徒側が学校日誌の開示を求めて情報公開請求をしたのに、学校側がその後に日誌を廃棄していた事案があった。請求した女性(52)は「本来は知りたい情報について職員が説明してくれればいいだけの話。ほかに方法がないから請求している。まずは行政側の情報公開に対する姿勢を改めるべき」と憤る。
 京都新聞社の取材では、府北部の市町で福知山市のような指針を作成している自治体はなかった。京丹後市では18年度に1246件の請求があり、過去には大量の文書が必要な請求もあったが「現時点では、そういった指針を作成する予定はない」という。
 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京都)の三木由希子理事長は「指針が作られると正当な請求であっても(開示まで1年を超えるなどした場合に)形式的な判断で、不開示になる恐れがある」と指摘。「例えばまっとうな批判に使用する場合でも『誹謗』と判断される可能性もあり、恣意(しい)的な運用につながりかねない」と話す。