12回大会の優勝シーンを紹介する写真パネル前で笑顔を見せる千葉チーム(京都市左京区・ロームシアター京都)

12回大会の優勝シーンを紹介する写真パネル前で笑顔を見せる千葉チーム(京都市左京区・ロームシアター京都)

優勝した第12回全国女子駅伝で千葉の監督を務めた小出さん(1994年、京都市右京区・西京極陸上競技場)

優勝した第12回全国女子駅伝で千葉の監督を務めた小出さん(1994年、京都市右京区・西京極陸上競技場)

 全国女子駅伝で過去3度の優勝を誇る千葉は今大会、特別な思いで号砲を待つ。昨年4月、元監督で女子長距離の名指導者だった小出義雄さんが死去し、秋には2度の台風など大きな災害に見舞われた。小出さんの教え子となる滝田輝行監督(58)は「墓前で良い報告をしたい」と恩師の遺志を胸に秘める。選手たちは11日の開会式で、「被災した地元に元気を与えたい」と好走を誓った。

     滝田監督は佐倉高(千葉県)時代、小出さんから指導を受けた。それまで全国大会の経験はなかったが記録が伸び、1500メートルなどで全国高校総体に出場。3年時は全国高校駅伝にも初出場し、都大路を駆けた。「練習は厳しかったが、『日本一になるために日本一の練習』を口癖に成長させてくれた」と振り返る。

 全国女子駅伝の第1回大会を制した千葉。12回大会で9年ぶりに優勝に導いたのが小出さんだった。以降、1位から遠ざかる中、千葉の指揮官に滝田監督を抜てきしたのも小出さん。そんな恩師と最後に言葉を交わしたのは昨年3月末だった。「内臓が動いてないけど、飯は食べたいんだよ」。病院のベッドで冗談を混じえながら気丈に振る舞う小出さんに、「千葉が優勝するまで元気でいてもらわないと困ります」と声を掛けた。かなわぬ夢となったが、「いい結果を出すことが恩返しになる」と思いを強くする。

 一方、選手たちは災害復興に励む地元の思いを背負う。今年は、大学でトップを争う名城大の加世田梨花選手(20)、大東文化大の関谷夏希選手(22)をはじめ、高校生も3校からエントリー。普段はライバル関係の選手が多く集まった。内藤早紀子主将(25)=パナソニック=は「家が浸水した友人もいる。明るい千葉を取り戻してほしいという思いで共通している」と団結ぶりを話す。

 昨年9月の台風で自宅が数日間断水したという大網中3年の南莉花選手(15)は「積極的な走りで地元に元気を届けたい」と力を込める。強い思いを胸にチーム一丸となった千葉が都大路で躍進を期する。