147万人のトップ京都市長選のパワー

147万人のトップ京都市長選のパワー

 147万市民のトップとして、ただ一人選ばれる政治家・京都市長。部下は1万8千人。扱う予算は1兆7千億円。政令指定都市として都道府県並みの権限を有し、市民生活の隅々に決定権を持つ。そのパワーが発揮されるのは、市独自の規制に踏み出す時だ。


 新年会帰りの会社員や大学生らが行き交う木屋町通。かつてあふれた客引きの姿は少ない。客引きを禁止する区域を条例で設定してから約4年半。今春には専門業者に客引きを依頼した店舗への罰則も加わる。2008年度以降、市が定めた独自規制を伴う条例は23本。住居地域でのペット霊園建設を禁止し、京町家を取り壊す際には市への事前届け出を義務付けてきた。
 規制は市民からの要望も踏まえている。半面、人によっては過剰と感じることもある。
 「放置自転車台数がピーク時の100分の1以下に減りました!」。市ホームページには規制の成果を誇る言葉が踊る。市は15年、放置自転車を即時撤去できる「撤去強化区域」を全国で初めて市街地のほぼ全域に広げた。持ち主が目の前にいてもトラックに積まれればアウト。返還には保管所に赴き2300円の過料の支払いが必要だ。昨年度の撤去台数は4万台超。一方、地価が高い市中心部では駐輪場は不足する。「止める場所が無いのに」。市民には不満もくすぶる。
 市長が持つパワーは強大だが、国や業界に阻まれ、思い通りに力を振るえない局面もある。18年、苦情が相次いだ民泊を規制する際、市はマンションでの営業禁止を狙ったが、管理者が10分以内に到着する「駆け付け要件」の設置で妥協した。立ちはだかったのは住宅宿泊事業法。外国人宿泊客の受け皿づくりを急ぐ国が規制緩和のため制定したため、強すぎる規制は法の趣旨に反するとされる。「踏み込み過ぎて業者に訴えられると敗訴の可能性があった」(市幹部)。他都市の政策にも影響する側面もあり、規制の限界を探る判断は難しい。
 市政の運営で市長と両輪とされる市議会も、時に大きな壁となる。財政難の市は09年以降、公共施設の修繕費などを捻出するネーミングライツ(命名権)事業を始め、市長権限で次々と対象施設を選び導入した。しかし17年、市美術館への導入を巡って市議会から批判が続出し、議会が認めた施設に限るよう制度を改めた。市長は自らの不信任決議案が可決された場合を除き議会を解散できず、政策を実現するには、議会で過半数に理解してもらう交渉力や説得力も重要だ。
 ある市幹部は「市長が何でも自由に決められるなら市長室は要望の列であふれるが、そんなことはない」と話す。市長の力は市民の声によって増幅も制限もできる。次の任期4年を託す京都市長選は2月2日投開票。どの候補者が市長パワーを市民のために最大限振るえるのか。力を与えるのは、有権者の持つ1票だ。

◇京都市長選連載「京都市のトリセツ」