乳白色の裸婦像で名声を博した画家・藤田嗣治が、国防服のデザインを雑誌「婦人画報」に発表したのは1938年のことだ。もんぺの膝から下を細く絞り、洗練されたシルエットに仕立てた▼華美が禁じられた戦時中にぎりぎりまで美を読者に伝えようとした編集意図がにじむ。戦時色が深まると工場での作業や軍事教練の姿が登場した。同誌は今年、創刊115年を迎える▼戦時中の言論統制下には「戦時女性」と改題、粗悪な紙でページも減った。京都市下京区で開催中の特別展「婦人画報と京都」(美術館「えき」KYOTO、20日まで)では、大正モダニズムや昭和初期のモダンガールなど世相の変化を感じとれる▼同誌は京都を一貫して重視してきた。創刊期から京料理や西陣織を紹介し、戦中にも上村松園の画室を訪問した。女性旅行者が増えた70年代初頭に始まった京都大特集は、春秋の恒例企画として今も続く▼時代は動いても、変わることのない「美しい日本」を保ってきた京都への敬意と共感が伝わってくる。伝統を受け継ぐ人と家にまつわる品々も特別展に彩りを添える▼同誌に限らず、雑誌には人格ともいえる個性がある。情報伝達の手段が多様化する中、紙のページを繰って時代の空気を感じ、読み手にとって最良の友を見つけたい。