中国の官服を仕立て直した能装束。裾に描かれた、霊気漂う岩島の表現が、蓬莱山を想起させる

中国の官服を仕立て直した能装束。裾に描かれた、霊気漂う岩島の表現が、蓬莱山を想起させる

  古代中国の理想郷として人々を魅了してきた「蓬莱」を題材にした井伊家伝来品のテーマ展が、滋賀県彦根市の彦根城博物館で開かれている。松竹梅をはじめ、新年にふさわしい柄の装束や調度品を紹介している。  

 蓬莱は不老不死や延命長寿をかなえる仙境として早くから日本に伝わり、幸福の象徴とされた。さまざまな美術工芸品の文様に用いられ、室町時代には鶴亀と松竹梅という現代につながる意匠として親しまれるようになったとされる。

 江戸時代の品を中心に27点を展示する。武士や唐人の役に用いる能装束「側次(そばつぎ)」は中国・清の官服を仕立て直したもの。裾には、荒波がしぶき、鳳凰が飛び交う中に岩島が描かれ、蓬莱山を連想させる霊気漂う表現が特徴となっている。

 白銅製の丸鏡は、背後に州浜や仲むつまじい鶴の親子、井伊家の家紋である橘を彫り出しており、婚礼調度品としてあつらえたと考えられている。

 松竹梅や鶴をあしらった扇、華葩(けは)もある。同館は「お正月を良い機会に、吉祥に満ちた伝統文化に触れて頂きたい」とする。26日まで。有料。