京都市の区役所をめぐる現状

京都市の区役所をめぐる現状

 「自営業者にとって『時は金なり』。納車が遅れ、顧客にも迷惑がかかる」。京都市西京区のバイク店主(61)は、不安を抱えたままの仕事始めとなった。

 区役所と支所で申請・交付ができたミニバイクのナンバープレートの窓口業務が昨年末に終了した。6日からの取扱窓口は、伏見区と中京区に設けた2カ所のみ。以前の15カ所から激減した。

 財政難で区役所の業務改革は進む。市は介護保険の認定や給付の受け付け体制も4月から変更し、本庁近くのビルに集約して民間委託する。ある区長は「市民サービスの質が担保できればいいのだが」と気をもむ。

 引っ越し、出産、死別など、人生の節目にしか訪れない人も多い区役所。その姿と役割は時代とともに変化してきた。今の11区体制になったのは右肩上がりの時代だった1976年。山科区と西京区が発足した。80年代以降は隣接の宇治市より人口規模の大きい伏見区を分ける議論も浮上したが具体化せず、2005年には旧京北町が市に編入合併されて右京区に入った。

 15年国勢調査と国立社会保障・人口問題研究所の45年予測を比べると、区別の人口で最多の伏見区は28万人から23万人、最少の東山区は3万8千人から3万人に減る。一方、中京区と下京区は微増となり、二極化が進む。15年の高齢化率が最も高いのは東山区の32・8%だが今後は伸びが緩やかになり、45年には山科区が43%で最高になる。

 少子高齢化に直面し、地域ごとの課題に応じたまちづくりの重要性は高まっている。区の将来像を定める「区基本計画」の期限が20年度末に迫り、市民が参加して新たな計画策定に動きだす区もある。

 「退職した中年男性は地域との関係が希薄」「居場所のない中学生がいる」。北区役所が昨年12月下旬に開いたワークショップのテーマは「孤立」。PTA役員やコーヒー店主などさまざまな肩書の90人が区の現状に意見を出し合った。

 北区は昨春以降、人口減少や防災などテーマ別の会議を開き、浮き彫りになった課題が孤立だった。参加した飲食店経営の平元俊一さん(48)は「人と人のつながりをどう生み出していくか問われていると再認識した」と話す。ひきこもり、老老介護、虐待など現代社会の映し鏡のような言葉が、まちづくりの課題に上る。

 住民に最も身近なサービスと区役所に求められる姿をどう描くか。大阪府では大阪市を廃止して四つの特別区に再編する「都構想」の制度化が進む。14年の地方自治法改正で政令市の区の権限を強める「総合区」が制度化されたが、京都市は「メリットがない」と導入していない。区長の裁量で区民提案の事業に補助する予算は11区で計3億円。市長が「政策枠」として裁量を持つ経費200億円に比べると小さい。「仕方なく採択を見送る事業もある」と嘆く区長もいる。

 前例のない人口減少社会。区の在り方そのものを考える議論から、避けて通れないのではないだろうか。

◇京都市長選連載「京都市のトリセツ」