「#闇バイト」をツイッターで検索すると、受け子と出し子を意味する「受け出し」という言葉と一緒に、特殊詐欺の実行犯を募っているとみられる投稿があふれる

「#闇バイト」をツイッターで検索すると、受け子と出し子を意味する「受け出し」という言葉と一緒に、特殊詐欺の実行犯を募っているとみられる投稿があふれる

 特殊詐欺に加担する若者が後を絶たない。「楽して稼げる」「高額報酬」。インターネットのSNS(会員制交流サイト)上には「闇バイト」と称する勧誘目的の投稿があふれ、大学生や高校生らが安易に犯罪に手を染める温床となっている。最近、高齢者から多額の現金をだまし取ったとして、詐欺罪などに問われた男子学生(20)の公判が京都地裁で行われた。傍聴して実感したのは、詐欺グループが若者たちを巧みにそそのかして引き込み、「使い捨て」にする手口の卑劣さだ。

 昨年9月、学生が訪れたのは、大津市に住む女性(82)宅。警察官を装い「キャッシュカードの保管のために来ました」と言ってカードをだまし取ると、ATM(現金自動預払機)から現金約70万円を引き出した。京都駅で待ち合わせた初対面の男に全額を手渡し、その場を離れた。

 学生の役割は、被害者からキャッシュカードをだまし取る「受け子」と、ATMで現金を引き出す「出し子」。被害者宅での「せりふ」をはじめ、訪問や現金を引き出すタイミングはすべて、詐欺グループから電話やメッセージアプリで指示があった。

 事件当日、犯行はあっけなく発覚した。学生は報酬を受け取る前だったが、実家に「(学生に)現金を持ち逃げされた」との不審電話があった。両親から問い詰められ、一連の行動を告白。京都府警に逮捕され、昨年12月、詐欺と窃盗の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた。学生は法廷で「知らない人の大切なお金を盗んでしまい申し訳ない。真面目に働いて被害金を弁償する」と語った。

 公判では、学生が犯行に加担した経緯も明らかになった。アルバイトが長続きしない中、ツイッターに書き込まれた「闇バイト」の募集に目が留まった。「報酬は1件20万円」「絶対に捕まらない」。犯罪行為と知りながらも、安易な気持ちで投稿者と連絡を取った。

 京都府警が昨年1~11月に特殊詐欺事件で逮捕した51人のうち、10~20代が7割超の39人を占めた。そのほとんどがグループの末端に位置づけられる「受け子」や「出し子」だった。その多くは学生と同様、SNSを通じてグループに加入していた。

 実際、ツイッターで、検索したい言葉に「#」を付けるハッシュタグ機能で闇バイトを調べると、高収入をアピールする怪しげな仕事の求人があふれる。

 一方、「受け子」や「出し子」が逮捕されても、グループ幹部に捜査の手が及ぶことは滅多にない。高校生や大学生は「捨て駒」として利用されているのが実情だが、それでも高齢者らをだます卑劣な犯行に加担していることに変わりはない。若年層の規範意識やモラルを向上させる取り組みについて、社会全体で考えたい。