畑菜が店先に並ぶ光景を目にすると、鼻先がツーンと染みて涙がツツーッと流れてきそうです。

 祖母が作る畑菜のからしあえは、幼い私のためにからしを控えめにするといった配慮は一切なく、これは大人の味、子どもの味という線引きは今考えてみてもなかったようです。おうどん屋さんではおつゆに花火がパッと散ったかのようにたっぷりの七味を私にお構いなしに振っていましたし、板前さんが握るおすしもわさびが当たり前に乗っていて鼻をつまんで涙を流しながら食べるもの、唐辛子の利いた焼き肉はウーロン茶で舌を洗ってヒーヒー言いながら食べるもの、子どもの私はそう捉えていました。

 ですが、こういった香辛料や香りを抜きにしてそのお料理は完成しないように思います。きっと家族は私に、本当の味はこれなんやでということをきちんと伝えたかったのでしょう。節分には、からしをうんと利かせた畑菜のからしあえをぜひ。

◆小平泰子 こひら・やすこ 1977年京都市生まれ。旬の食材を使い、和食にとらわれず、食材の組み合わせの面白さを提案したレシピを考案。中京区烏丸三条と東京・日本橋で料理教室を開く。近著に「季節の野菜と果物でかんたんおつまみ」がある。インスタグラムはyasukokohiragokan