デザオ建設がオープンしたモデルハウス「とこしえ」では、専用アプリで電力状況を把握できる(京都市上京区)

デザオ建設がオープンしたモデルハウス「とこしえ」では、専用アプリで電力状況を把握できる(京都市上京区)

 京都や大阪のハウスメーカーが、高付加価値の住宅開発や新たな販売手法に取り組んでいる。人口が減少する中、新築物件の販売を伸ばそうと模索し、災害に備えたシステムや家電とインターネットをつなぐ「IoT」の導入、試泊体験などを取り入れたモデルハウスが登場している。

 8月、京都市上京区にモデルハウス「とこしえ」がオープンした。デザオ建設(山科区)が手掛けた同ハウスは、電気自動車から家庭に電力を供給する「V2Hシステム」を導入。ITで電力の「見える化」を実現した最先端の住宅だ。

 V2Hは、太陽光発電の電気をそのまま使うだけでなく、駐車場の電気自動車に蓄電し、夜間にも使える。最大40キロワット時が蓄電できる車種の場合、4人家族で2~3日間の家庭内電力をまかなえるといい、日常的な省エネ化だけでなく、災害などの停電時に活用が期待されている。

 悪天候で発電量が少ない場合は電力会社から購入する電気と組み合わせる。発電や蓄電量、使用電力の流れを専用アプリを使ってタブレット端末などで確認できる。

 「とこしえ」は、来場者に停電時のデモンストレーションを行い、電力復旧の流れを体験してもらえるのが特徴だ。価格は平均で1坪(3・3平方メートル)85万円前後と決して安くはないが、「台風や地震など自然災害の頻発で家庭におけるエネルギー需給構造が注目されていて、問い合わせも多い」(注文住宅事業部)という。

 これらの新しい提案の背景には、国内の住宅着工戸数の減少がある。

 国土交通省によると、1980~90年代に年間120~170万戸だった着工戸数は、バブル崩壊やリーマンショックによる景気悪化に伴い2009年に同77万戸に減少。人口減少により住宅購入者層は縮小傾向で、17年は同94万戸だった。

 新築物件を扱うエルハウジング(右京区)も、IoTを活用した新住宅を公開した。スマートフォンの専用アプリで、窓のシャッター開閉や空調、照明など4項目を遠隔地から操作できる。

 8月に長岡京市にオープンしたモデルハウスは約1週間で契約されたという。「今後は働く女性の助けになるような家事家電にも広げていきたい」(広報担当)といい、年間着工件数の5%をIoT住宅にすることを目指す。

 新たな販売手法を取り入れたメーカーもある。セキスイハイム近畿(大阪市)では、V2Hシステムを採用した住宅の「宿泊体験オープンハウス」を亀岡市に開設した。

 生活に必要最低限の家具と家電をそろえ、1泊2日で入浴や一部の調理が可能。家全体の温度差を小さくし、汚染物質の室内侵入を防ぐ高性能換気システムも体感できる。オープンした8月下旬から多くの客が宿泊して契約に至った件数もほぼ半数に上っているといい、「一生の買い物だからこそ、試泊で安心して購入して欲しい」と話している。