民営化に向けて運営法人を2回公募しても応募がなかった聚楽保育所(京都市中京区)

民営化に向けて運営法人を2回公募しても応募がなかった聚楽保育所(京都市中京区)

 京都市が進める市営保育所の民営化に課題が出ている。移管先法人を募集しても応募がなかったり、移転先の新園舎の完成が遅れて年度の切り替わりに間に合わない事態となっている。市は財政難を背景に今後も民営化を進める方針だが、園児の保護者は「子どもたちへのしわ寄せが心配」と懸念している。

 市は市営保育所が民間保育園より高コストとして、2012年に民営化方針を打ち出した。11年度にあった25カ所のうち、12カ所が対象となり、19年度までに9カ所が民営化された。3度の公募に応募がなかった船岡乳児保育所(北区、現・楽只保育所船岡分園)は民営化を断念。市立芸術大の移転先となった崇仁(下京区)と、聚楽(中京区)で遅れが出ている。
 聚楽は16年度と昨年に2度公募したが手を上げる法人が出ていない。施設の老朽化や保育士確保の難しさが理由という。保護者会は昨年12月、「保育の現場が混乱する。白紙撤回すべき」とする要請文を市に提出。しかし、市は同月末から3回目の公募に踏み切った。保育の引き継ぎを1年間遅らせ、法人側が保育士を確保する期間を設けられる内容に変更した。

 市は3回目の公募について保護者に文書で通知したのみ。保護者の一人は「民営化する場合、保護者は市営と同等の保育を引き継いでほしいと思っている。何より子どもたちが今の保育所に行き、先生と会うのを毎日楽しみにしている」と訴える。
 
 一方、崇仁は今年4月、下京区の元六条院小跡地に新園舎が建設され、社会福祉法人「錦会」(西京区)の運営でオープンする予定だった。ところが、地盤改良工事や資材調達の遅れ、作業員不足が影響し、3月末の完成は5月末に遅れ、保育の開始は6~7月の間で調整中という。
 
 市幼保総合支援室は「年度末に移転するより余裕ができる」と説明するが、民営化が決まる過程で反対意見が強かった経過があり、ある保護者は「市から説明されていた内容が変わり不信感がある。保育に影響が出ないか不安でならない」と話している。
 
 市は20年度からの新たな5カ年計画「市はぐくみプラン(案)」でも市営保育所の民営化に取り組むとしている。当初の民営化方針では市営保育所の役割について「年度途中の入所や障害のある児童の入所への対応」と明記している。発達障害や医療ケアが必要な乳幼児の需要も高まる中、どこまで民営化を進めるのか、市民や保護者への十分な説明が求められている。