ニューヨーク株式市場が最高値を更新するなど、好感された。朗報なのだろう。

 米中両政府が、貿易協議の「第1段階」合意に署名した。

 米側の対中貿易赤字が巨額に上り、恒常化していることを受けて、両国は2018年7月から制裁関税の発動を繰り返してきた。

 「貿易戦争」ともいえる事態が、ひとまず休戦となる。

 世界経済が減速するとの懸念が和らぐのを、大いに歓迎したい。日本経済にも、よい影響を及ぼすはずだ。

 合意内容は、米国が制裁関税の1200億ドル分への税率を15%から半減する見返りに、中国が米製品の購入を5割程度増やすことが柱となる。

 中国は、米農産品や工業品、エネルギーなどの輸入を、2年で2千億ドルも増やすと保証したとされる。これは、制裁発動前の米国からの輸入額を大幅に上回る。

 国内の経済成長にかげりもみられる中で、大幅に譲歩してでも、景気減速のリスクを回避したい思いがうかがえる。

 「貿易戦争」の原因が米側の赤字なのだから、これを縮小すれば休戦に至るのは当然である。

 ただ、制裁関税をてこにした強圧的な要求が通ってしまうのは、世界の自由貿易体制にとって、好ましくないともいえよう。

 合意内容には、知的財産の保護強化、技術移転の強要是正、人民元安誘導の抑制など、米側の要求が多く盛り込まれた。これらの貿易関連の不公正をなくす取り組みが実施されたかどうか、検証するのは簡単ではなさそうだ。

 合意内容の進展状況を、両国の閣僚レベルで定期的に話し合う場が設けられ、違反があれば対抗措置を取れるようにするという。こうした仕組みを、十分に機能させてもらいたい。

 今回は、米大統領選を控えたトランプ氏が、中国側の妥協を引き出し、農業分野など国内の支持基盤にアピールする思惑があったため、合意に至ったともされる。

 続く、「第2段階」では、中国が自国の優位を保つために出す産業補助金の見直しなどを協議し、合意が得られれば、米国は制裁関税を撤廃する意向だ。

 中国の社会構造に関わる問題だけに、合意のハードルはさらに高くなる。それに、「貿易戦争」が根本的に米中の経済覇権争いだとすると、再燃を避けるのは難しい。日本を含む各国は、今後の動向への警戒を継続すべきだ。