湧水花きの栽培地で餌を探すコウノトリの「ひかり」(京都府城陽市)

湧水花きの栽培地で餌を探すコウノトリの「ひかり」(京都府城陽市)

 京都府城陽市で昨年12月に飛来が確認された特別天然記念物のコウノトリが、年を越えてそのままとどまり、市民を喜ばせている。市内にはハイキング客に人気の「鴻ノ巣山」もあり、コウノトリに愛されるまちになることを望む声も上がる。専門機関は「地域住民や行政が、餌となる水辺の生物を増やす努力をしているかが鍵」と指摘する。

 浅く水が残る同市のカキツバタ畑。2018年に福井県越前市で生まれた雌の「ひかり」が餌をついばむ。カメラを携えて観察した城陽市富野の女性(77)は「こんなにきれいな鳥を見たのは初めて」と声を弾ませた。
 観察を続ける城陽環境パートナーシップ会議の中川宗孝さん(67)=同市富野=らによると、年始以降は主にこの場所で水生動物を食べ、夕方ごろには近くの鉄塔に移動することが多いという。
 豊富な地下水を利用し、カキツバタやハナショウブ、ハスなど湧水花きの栽培が盛んな同市。栽培地は冬も水を切らないことがあり、中川さんは「餌が豊富で、取りやすい環境なのではないか」と推測、「城陽でいつでも見られる鳥になってほしい」と期待する。
 兵庫県豊岡市にある県立コウノトリの郷(さと)公園エコ研究部長の大迫義人さんによると、コウノトリは体重4・5~5・5キロで、飼育下では体重の1割に当たる約500グラムを1日に食べる。3歳ごろまでは頻繁に移動し、餌がよく取れる場所を学習するという。
 野生では魚やカエル、ザリガニ、ネズミなどを捕食するが、餌が少ない環境に適応する力は弱い。府内で野外繁殖が確認されているのも京丹後市だけだ。
 大迫さんは「不器用なコウノトリが生きていくには、生物多様性が大切。コウノトリが評価してくれる環境があれば、定着する可能性もある」と話す。
 過去には、コウノトリがいる場所に人が集まり、飛び去ってしまったケースもあったため、150メートル以上離れて観察するよう注意も促している。