1957年に旧ソ連が世界初の人工衛星の打ち上げに成功して、今年で63年になる。国連宇宙部の集計では、これまでに世界各国で打ち上げられた人工衛星の数は8800基を超え、現時点で5400基以上が地球の周りを飛んでいる▼カーナビゲーションなどの位置情報システムや天気予報の精度が上がったのは人工衛星のおかげだが、その一方で、衛星を攻撃する目的で打ち上げられる「キラー衛星」への懸念が高まっているという▼昨年12月に「宇宙軍」を創設した米国に続き、日本政府も航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」とする方向で調整に入った。本年度中に空自内に新設する「宇宙作戦隊」を核に、監視などの任務にあたるとしている▼日米が念頭に置いているのは宇宙開発を加速させる中国やロシアだ。情報収集衛星が破壊されれば軍事動向がつかめなくなり、通信衛星が乗っ取られれば同盟国の情報が筒抜けになる▼SF映画のように宇宙空間で戦闘を繰り広げるのではなさそうだが、懸念されるのは、監視の目が届きにくい宇宙での軍拡競争に発展しないかという点だ▼67年に発効した宇宙条約は、宇宙の平和利用の原則を規定している。懸念への備えは避けられないとしても、衝突を避ける話し合いは地球上で地に足をつけて行われるべきだ。