自宅の電気代、暖房代を浮かすため日々外出する男性(京都市上京区)

自宅の電気代、暖房代を浮かすため日々外出する男性(京都市上京区)

 「250人待ちです」。京都市東山区で介護計画の作成などを担う居宅介護支援事業所「スターネット」のケアマネジャー小高宏道さん(71)は今月、市内の特別養護老人ホームに問い合わせたところ、大勢の待機者がいるのを理由に担当する女性(89)の入居を断られた。
 
 女性は要介護4で、ほぼ寝たきりの生活。認知症が進む。同居で世話をする60代後半の息子夫婦2人も、病で介護が必要だ。「このまま在宅での『老老介護』が続くと、虐待を招きかねない状況」と小高さんは危ぶむ。
 市内に特養は98施設(定員計6231人、昨年4月時点)あるが、待機者は4905人に上る。市は2020年度に西京区や山科区などで新たに3施設(定員計320人)を整備するものの、市中心部では地価高騰の影響もあり、絶対数が足りていない。小高さんは諦め半分で、5施設に入居申請書を送った。

 市の高齢化率は直近20年間で、約2割から3割に急伸した。今後も増え続ける中、市は2018年に策定した福祉計画で「住み慣れた地域で互いに支え合い、生き生きと健やかに暮らせる健康長寿のまち・京都をつくる」と掲げる。しかし、市内の介護現場を歩くと現実は心もとない。
 
 在宅介護では、担い手となる介護職の不足が深刻化している。
 「人材が確保できない。1月末で居宅介護支援事業所を閉鎖する」。原谷地域包括支援センター(北区)に昨年10月、ある社会福祉法人からそんな連絡があった。同センターが関わる利用者は6人。受け入れ先は何とか見つかり、利用者がサービスを受けられなくなる事態は避けられた。
 だが、鈴木太一センター長(51)の不安は尽きない。「担当の介護者が変わる不安は、高齢者にとって大きい。顔を覚えるのが難しい認知症の人なら、なおさら。最近は仕方なく実績の少ない事業所に頼まざるを得ないことも多く、介護の質の低下が心配だ」
      
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 電気代や暖房費を節約するため、外出するのが日課だ。食費は千円以内。朝は6個入りのパンを2個、昼は430円の牛丼、夜は100円均一のスーパーで買った白飯とおかず2品。妻に先立たれて10年、ほぼ毎日同じ生活を続ける。「人からはよく飽きないなと言われるが、飽きるとか飽きないとかじゃない。生きるためには仕方がない」
 
 京都市北区の男性(82)の年金は月約6万円。市営住宅の家賃を差し引くと、手元に残るのは4万円余り。長男(56)は長く失業し、約1年前に働き始めたばかり。それでも同居しているため、生活保護の対象からは外れる。
 西陣織の織り屋に生まれ、18歳から働いた。一時は織機3台を持ち、「サラリーマンよりもいい生活」を送った。だが、外国産の安い糸の流通や和装需要の低迷で発注は激減。借金して買った自宅兼工場は、売り払った。50代から旅館の皿洗いや警備員などアルバイトで食いつなぐ。最後は放置自転車の撤去作業で腰を痛め、働けなくなった。
 
 所得が低く、生活に困窮する高齢者が増えている。京都市内の生活保護受給者4万2741人のうち、65歳以上は約半数を占める。割合は年々高まっているが、男性のように保護を受けずぎりぎりの暮らしを続ける人も少なくない。
 男性は少しでも行政の支援があればと願うが、「今の生活を恥ずかしいとは思っていない」とも話す。年金をやりくりし、何とか手元に残している30万円。自身の「葬儀代」という。

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 2月2日投開票の京都市長選へ。身近な市政課題を随時取り上げていきます。